NEWS: 2009年3月アーカイブ

poster.jpg写真家の思惑は、多くの場合タイトルに込められるものである。直接的、間接的なある種の表現で写真展あるいは展示写真全体に行き渡るものであるはずで、タイトルが写真展全体に及ぼす影響は極めて大きい。

多くの写真展が開催されている現在、TANTOTEMPOにもたくさんの写真展案内が届くが、これがとても面白い。各人各ギャラリーがいろいろ考えを巡らして写真展のタイトルを決めている様子が伝わってくる。中には思わず"うまい!"と感動するものもあれば、なんとなくイメージとタイトルの間に違和感を感じたり、写真展の中身に対し興味を失いかねない言葉を使っているケースもある。もちろん、写真展案内に掲載されている写真を見ての感想だから、本当のところはわからないけれど。
タイトルやキャッチコピー、こればかりはセンスだから仕方がない。所詮記号だと決めてつけて、たいして考えることもなく決めてしまうこともあるのだろうが、やはり写真展の顔、こだわりぬいて決めていただきたい。

田中亜紀写真展と時を同じくして、同じ栄町通にあるギャラリーPAXREXで奥脇孝一さんの写真展が始った。奥脇さんはモノクロームで花を撮り続けている写真作家で、物静かだけれどシャープな、しかし植物のシルエットを強調するイメージを長年お撮りになっている。この写真展のタイトルが「ゲーテが見た植物園」というもので、イタリア・パドヴァにあるオルト・ボタニコという植物園の風景の写真展なのだが、このタイトルが素晴らしい。"ゲーテ"というキーワードが含まれるかメタファーとして介在するタイトルをとの奥脇さんの思いに対し、ギャラリーがつけたタイトルはそのものズバリ。しかし、写真の落ち着いたトーンと相まって、ゲーテという言葉がもたらす印象が写真展全体に物静かな空気の流れを作り出していて、5世紀にも及ぶ植物園の歴史を見せるという点で本当に効果的だな、と感動すら覚えた。

ギャラリーPAXREXでの奥脇孝一写真展「ゲーテが見た写真展」は4月26日(日)まで。ぜひ一度ご覧になってください。



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