Main Galleryの最近のブログ記事

DSC00484.jpg12月10日から開催してまいりましたTANTOTEMPO pure展が終了しました。

この写真展は若手の写真家にレビューを通して展示の機会をもっていただき、また来廊者の方々にも作品を飾る生活の楽しさを訴えようとTANTOTEMPO設立の2008年から毎年開催しているもので、今年も家具を設置しての展覧会となりました。

最近は展覧会の始まる前にその展覧会が成功するかどうか不安になり胃が痛くなることが多いのですが、「成功」の定義はともかく、終わってみれば来廊者数も反応や売り上げもそこそこ例年通りだったのではないかと安堵しています。今年のTANTOTEMPO pure展は海外から3写真家を招待して大作品のユーモラスな作品やコンセプトの明快な作品、展示の工夫をするなどいろいろな点で作品が社会に訴える仕組みを見せられたかと思います。参加した写真家また来廊いただいた皆さんからも例年以上に好評で、大変有意義な展覧会だったと思います。一方で、作品が大きくなる傾向があり、また高レベルになったために価格帯が例年より少し上昇したこともあり、昨今の経済的状況で売り上げが生まれるのか大変心配していましたが、どうやら杞憂に終わったようです。決してすばらしい成果とはいえませんが、近年の経済状況、作品のレベルなどからすれば上出来と言えるのではないかと思います。

DSC00529.jpg
それにしても今年の日本の若手写真家は、よく頑張ってくださった方とそうでない方とが成果の上ではっきりと分かれる結果となりました。いわゆる営業的なことを強いるのは僕たちギャラリーの立場からすればこころ苦しい訳ですが、自ら率先して作品を世に出したいと願いそれを行動で示す姿勢があった日本の写真家の3名はぎりぎりのところで結果を残せたのが良かったと思います。彼らとは展覧会が進むにつれ一体感が生じて、彼ら同士がつながっていくのを大変興味深く見ていました。ギャラリーにこられない外国勢の作品の解説を引き受けてくれるすばらしい姿勢の写真家もおられました。

最も売れたのは海外の一人と日本人の一人の各2イメージ延べ3作品ずつ。それぞれ作品力、アートや社会への参加の姿勢が他を一歩抜きん出ていたように思います。特に海外の写真家で一番人気だったDavid Schalliolさんの作品と日本人写真家の清家政人さんの作品について少し解説したいと思います。

R0012421.jpg
Davidさんはアメリカの名門シカゴ大学の社会学部で準教のポジションにいる社会学者です。社会学での研究テーマが都市の境界線を読み取ることで、都市の辺縁に存在する孤立した建築物を都市の拡張と衰退の視点から眺め研究をしています。そのテーマがそのまま写真作品になっているのが今回の写真展で展示した風景写真なのです。イメージは非常に精緻で色彩が豊か、構図やライティングを捉える視点も完成度が高く、もちろん建築写真としてみてもうまい写真と言えます。来廊者の方の多くが彼の作品を最も理解しやすく欲しい作品、とたたえてくださったのが印象に残っています。展覧会後、一報を入れると大変喜んでくれました。

R0012428.jpg
清家さんは展示6作品のうち特に2作品に注目が集まりました。写真はDavidさんとは正反対、どちらかというと日本的な心証風景かと思います。日本画の異時同画法という、一つの画面に時空の異なる絵を落とし込んでいくという手法を写真で実現できないかと考えて、複雑な工程を作品づくりに課しての参加となりました。その結果、注目されたいくつかの作品には複雑な構図からもたらされる美が醸し出されており、作品としての意図を表わすことに成功したのではないかと思います。清家さんはまた、東京からの参加でしたが、設置から撤収まで非常に高い意識での参加姿勢があり、ギャラリーとしてもその辺りの姿勢を非常に高く評価しています。あとは作品の精度を上げて、注目された2作品と同レベルのわかりやすい美しさを制作姿勢から加えていけばかなり質の高い作家活動が繰り広げられるのではないかと思います。

DSC00504.jpg
他の日本人写真家2人も頑張りました。イメージはまだまだ実験段階、まだ伝えきれない部分もあるのだろうと思います。しかし、今回の展覧会の中でより多くのことを学ばれたと思います。アートに携わることの大変さは何も売り上げばかりで語ってはいけないのですが、グループ展の他の参加者の作品が売れていく様子を横目でみることは非常に苦しい思いがあるものです。しかし、めげずに最後まで熱心に自分の作品を売り上げていたことが何より結果につながったと思います。作品については他者のこころに響かない限り評価される所に到達できないことは明らかですので、作品をより高い姿勢で制作し、ギャラリーや来廊者と真摯な態度で交流し、フィードバックに耳を傾ける姿勢を持つことが何よりも大切です。彼らにはこれからも頑張っていただきたいと率直にエールを送りたいと思います。

実績としては2週間の期間中、12作品が販売されました。多くの方が来廊くださり、またこの展覧会の趣旨に賛同くださってたくさんの応援をいただきましたことを感謝しております。この場を借りて厚くお礼申し上げます。

R0012040.jpg【今年からPARIS PHOTOが開催されることになった新会場、Grand Palais】
11月9日から僕たちTANTOTEMPOスタッフはPARIS PHOTO 2011に行ってきました。PARIS PHOTOのレポートはすでに多くの人によりあちらこちらで書かれはじめているようですが、僕もこちらのブログとまた別の枠組みのコラムとに寄稿することにしていますので、こちらではあっさりと触れるに留めたいと思います。

僕自身が写真に関連してパリを訪問したのは3回目。2007年のTANTOTEMPOオープン前年、さらにTANTOTEMPO開設直後の2008年、この年は日本が特集された年だったわけですが、その2回に続いて3年ぶりの訪問となりました。前回の訪問は、パリはストライキが吹き荒れ、僕たちの帰国便が飛ばないという混乱に見舞われ滞在日程のほとんどをこの問題の解決に使ったため散々なパリ訪問でした。今回はあらゆる意味でさまざまに目的をもっての渡欧でしたので、ストで飛ばないような航空会社は避け少しゆとりのある日程を設定しての訪問でした。

R0017038.jpg
その訪問の大きなミッションの一つは、写真集や写真のZineなどをパリで調達する、というものでした。これは帰国直後の11月19日からTANTOTEMPOで開催した"WORLD INDIE PHOTO BOOK & ZINE COLLECTION"という写真集にフォーカスした企画に展示する写真集を集めるものです。PARIS PHOTO以外の写真イベントを訪問することも大きな目的でしたので、事前に調べていたさまざまなイベント訪問を実現してきました。特に、Offprint Parisという写真集、リトルプレス、Zineに多数の中小出版社や個人が参加するイベントでは本当にたくさんの写真集、ZIneを見ることができました。その熱気はPARIS PHOTO本体をしのぐのではないかというほどだったと思います。

R0012181.jpg
さて、"WORLD INDIE PHOTO BOOK & ZINE COLLECTION"ですが、6月にレビューサンタフェを取材訪問した際訪れたPHOTO-EYEというアメリカでも有数の写真ギャラリーに付属するBook StoreやIndie Photobook Libraryというこれら写真集の全世界に渡るデータベースを作成しようという試みで数多くの優れた写真集を目撃したことから企画したものです。写真集とはいえ、写真の見せ方や構成、装丁やデザインにおいて実にさまざまな工夫がなされており、いわゆる大手出版社によらない写真集の界隈がかなり階層の深いアートのコンテクストを持っているように見えた訳です。そこで、秋のパリ訪問にあわせて世界中から写真集を集めて、帰国直後に展覧会を構成できれば有意義な展示ができるのではないか、と考え計画をねってきたのです。

R0012180.jpg
"WORLD INDIE PHOTO BOOK & ZINE COLLECTION"では、アメリカは先述のPHOTO-EYE Book Storeから、欧州はOffprint Paris会場から任意に出版社や枠組みを設定して、また日本からはTANTOTEMPOにゆかりのある写真家や東京Photta-lot柿島貴志さんのセレクションを加えて、総数約80種類の写真集&Zineを展示しました。特にPHOTO-EYEはブックストアのMelanieディレクターが自ら写真集を直接セレクション、またOffprint会場でも枠組みそれぞれのおすすめ写真集の提案を受けての選抜となっており、これも展示が非常に面白い、と評判になったコレクションになった理由だと思います。

R0012158.jpg
【かなりしっかりした段ボール製のテーブルを設置】
企画の構想を立てた時点で一つの問題に突き当たりましたが、それが写真集をどのように展示するか、というものでした。しかし、ギャラリーによく来てくださる段ボールを使ったさまざまな商品開発を行う、自身も段ボールアートの可能性をさまざまに発信されている方にテーブル作成を依頼しました。このテーブルは壁に固定さえすれば相当の重さまで耐えるし、たたんでしまえば保存できますので非常に重宝しそうです。

結果的に、非常に面白い展示空間ができあがりました。写真集はそれぞれの枠組みごとに並べ、枠組みの紹介パネル、価格などとともに展示をしました。

R0012331.jpg
パリで出会ったいくつかの出版社、枠組みは非常に面白い写真集を作っています。写真集に留まらず自らリトルプレス、Zine屋と称してブランドを立ち上げている人も数多く見かけました。"WORLD INDIE PHOTO BOOK & ZINE COLLECTION"はまさにOffprint Paris会場のミニチュア版をTANTOTEMPOに設置したような形となりました。

内訳は、オランダをベースとするPolly's Picture Showという写真に関することなら何でもする、という写真プラットフォーム、スイスのリトルプレスKodoji Press、オランダ人だけれどブラジル在住の個人Zineレーベル4478Zineを立ち上げた写真家Erik、ロンドンのリトルプレスJane&Jeremy、そしてPHOTO-EYE Book StoreにTANTOTEMPO、Photta-lot
セレクションの日本のシリーズです。TANTOTEMPOが2月に開催する海外でも人気の硬派な写真誌ASPHALTも予告もかねて展示をしました。さらに、大阪のZine専門店Books DANTALIONも、オーナーディレクターの堺さんのセレクションで展覧会にご参加いただきました。

R0012350.jpg
さて、この展覧会中非常に面白い現象がみられました。来廊者の方々のギャラリー空間への滞在時間が非常に長いのです。写真集というものは、いわゆる写真展に飾られている写真とは全く違った興味を与えていることがわかります。アートの装置が一面的でも2次元でもない、装丁や本としての体裁の与え方など非常に多くのチェックポイントがあるからです。実際、何人かの来廊者の方は「適当な写真展を眺めるよりよほど面白い」「こんなに多様な写真集文化があるとは知らなかった」と非常に高く評価していただいたと思います。

【馬場先生の話に熱心に聞き入る窪山さん(手前)と堺さん】
12月3日、このイベントに関するトークショーを開催しました。甲南女子大学のメディア文化、写真論の馬場伸彦先生、Zineを専門に扱う書店Books DANTALIONの堺達朗さん、そして大阪の写真ギャラリーBLOOM GALLERYの窪山洋子さんを招いてのトークショーでは、まず馬場先生から写真集がいつ頃立ち上がり、どのような歴史を経て発達したのかを概説していただき、現在の写真集の存在意義について、また写真集という物質的構造そのものが触ってめくるものとしていわゆるデジタル写真集としてモニターで見る写真集構造とちがってパーソナルな体験をもたらすことを、DTPの登場による印刷に関する技術革新とからめて説明していただきました。続いてZineについて堺達朗さんにその発祥と考えられるいくつかのエピソードを話していただき、Zineがどうして注目され現在の形態と流通を持つに至ったかを説明していただきました。Zineは本質的に非常に安易にチープに作られていて、いわゆる写真集の品位とは全く異なる形式である訳ですが、デジタル時代にあってもこうしたチープさが維持されながら、一方では著名作家のZineの登場、イベントの興隆で本来チープであるはずのものが高額に取引される作品として流通する事情などを説明していただきました。さらに、海外や日本でのZineのイベントをスライドショーで紹介していただき世界中でのZine熱を紹介していただきました。続いて、写真ギャラリーの立場からすれば写真展という非常にフォーマルな構造があるなか、全国でも珍しいポートフォリオ展、Zine展などを相次いで開催し人気の展覧会に育てているBLOOM GALLERYの窪山さんに、そういったイベントを開催するきっかけや意図について話していただきました。ポートフォリオやZineには、限られた写真を選んで展示する写真展とは違って、より多くの作品を見ることができるため作家の世界観が見えやすい、という特徴がある、それが面白いとの説明がありました。参加者の多くは写真表現を学んでいる途上の方が多く、皆さんが熱心に聞き入っておられたいいトークショーだったと思います。

R0017033.jpg
【オランダの若い女性アーティスト集団にインタビューを申し込む】
今回の写真集展は、異なった国、地域から多くの写真集を集めたこと、またそれぞれの枠組みや出版社が独自の形式の写真集を送り出していること、また一冊一冊がアート作品のような面白い表情を見せている装丁やデザインそのものの多様性を見ることができた訳で、多くの方が大変楽しまれ非常に高く評価された展覧会となりました。また、参加していただいたアメリカやヨーロッパの枠組みそのものにもFacebookやホームページで取り上げてもらったため、彼ら自身やその周辺からも高い評価をもらうことができたように思います。

TANTOTEMPOには世界中の写真集を収集したそこそこ大きなライブラリーがありますが、今回の写真集はそれらとは全く異なる顔を持っているように感じられました。これらは写真から必然的に派生した写真集と、そもそも自己表現のツール、メディアとして難しいこと抜きに自然発生したZineと、明らかに出所が異なるようにも思えるし、馬場先生が「それらの区別には意味はない、結局のところは複製技術、印刷技術、編集のセンスが時代と組み合った結果でき上った文化なのだ」とのまとめの言葉に象徴される、アートの一部なのだと考えるしかないと思います。TANTOTEMPOでは今後もこのようなイベントの開催ができるよう、アメリカやパリで作った関係を維持しながら、より大きなイベントを模索したいと思います。
R0011637_2.jpg【写真:金箔を用いて制作された作品を前に説明する大和田さん】
大変好評な大和田良さんの写真展"FORM"がいよいよ最終週となっています。

"FORM"は、盆栽を撮影した大和田さんの新作シリーズですが、盆栽の特徴や歴史を伝えるためにさまざまな工夫をしており、大和田さんらしい美的なセンスが光る作品となっています。

10月29日、大和田さんが神戸に来られトークショーを開催しました。トークショーでは盆栽のシリーズを撮影するに至った経緯がスライドショーで紹介され、日本の美、日本的な芸術を作品として描くことが最初の目的だった、と説明されました。さまざまな伝統美があるなかで盆栽というモチーフを選び撮影対象としたこと、さらに盆栽を描くために参考にした俵屋宗達や尾形光琳など、琳派の絵師によるふすま絵などを紹介され、これらが作品作りに大きな影響を与えた、と話されました。

R0011641.jpg
スライドショーでは、初期の試験的な撮影をするなかで、従来の対象にまっすぐに向き合う方法論では盆栽そのものの構造を十分に伝えられない、盆栽の力に負けてしまう、との思いを抱き苦悩したことが紹介されました。その上で、どのような表現であれば盆栽と対等に向き合いながら美を描けるのかを追求したということです。最終的に、さまざまな季節のいろいろな時間帯の光を利用して数多くのカットを撮影し、それらを一つのイメージの中にコラージュの手法で配置することで美しい作品が作り上げられていった、と話しておられました。盆栽が数百年という時間を経て次の世代に引き継がれいく時間の長さを伝えるために、あらゆる時間軸上の陰影を作品に織り込んでいった、という説明には非常に説得力がありました。

R0011665.jpg
スナップ写真の一時性、即時性という対極にある写真の手法についてまずトークの導入部分で話され、そのあとで今回の作品づくりについて説明をされたのは非常に効果的でした。写真をあらゆる視点で拡張すること。アートとはつまるところ新しい視点や概念を創造することでもある訳で、その意味で大和田さんの盆栽は多くの可能性を示すものです。新しい美の拡張を訴える作品がつまらない訳はなく、またデザイン的にただ分割して並べ直しただけのものではない、悠久の時間という概念を作品の織り込むことを目的として異なった時間、季節に撮影した写真を同一のイメージに配置した今回の手法は、見事に実を結んだと言えます。

トークショー後のレセプションでは参加者の皆さんと大和田さんが作品を前に熱心に話されておられました。また、たくさんの作品が販売されました。

TANTOTEMPOでの大和田さんの"FORM"は11月6日までです。ぜひお越しになり作品をご覧いただきたいと思います。
R0011360.jpg
大和田良さんのFORM-SCENERY SEEN THROUGH BONSAIが好評です。

盆栽を独特の美意識の上で撮影したシリーズ、大和田さんらしい大胆なセグメンテーションや切り返しが盆栽の特徴である枝振りや全体の構造に劇的な陰影を生み出しており、また光の捉え方に非常に細やかな配慮が見え、美しい作品に仕上がっています。

東洋の伝統芸術に対して写真という西洋的で現代的な手法がどのようにアプローチするのか、いろいろ話題にもなったし、大変苦労をされた作品だと思いますが、最終的には盆栽の魅力を余すところなく見せており、写真そのものの従来の方法論をあっさりと打ち破っているところで写真に新しい境地を切り開いており、大変ユニークな作品となっています。額装やプリントの処理もすばらしく、すでに複数作品が販売されています。

特に大作品はいわゆる盆栽でいうところの寄せ植えを非常に高精細に、また自由な発想で異なった調子の光を巧みに組み合わせて隅々まで丁寧に制作されており、圧巻です。

大和田良さんは昨年に続いて2回目の神戸となります。昨年ワークショップでトークショーをお願いした際、数点の作品を展示しましたが、トークショーではちょうど盆栽のシリーズの撮影に取りかかったところで今年はその成果を見せていただいています。すばらしい作品ですのでぜひTANTOTEMPOでご覧ください。展覧会は11月6日(日)までです。

また、29日(土)にはトークショーがあります。午後4時からまだ若干空きがありますのでお申し込みをお願いいたします。先着40名さま、¥2,000です。

DSC00422.jpg8月27日から開催中の岡部東京さんの写真展、"ヨッシーワールド"が大変好評です。連日たくさんの来廊者があり、岡部さんの写真の世界に驚かれ、にぎやかに笑いが広がって、皆さん楽しまれている様子です。一方で、一部の写真ファンからは批判もあるようで、岡部さんが神妙な表情で耳を傾けるシーンなどもありました。賛否両論の中、展覧会は会期を1週間残すだけとなっています。




DSC00424.jpg
2008年キャノン写真新世紀で入選されてからあまり活動という活動のなかった岡部さんですが、埋もれている写真家を再発掘し世に問いかけようとTANTOTEMPOが声をかけて実現した写真展です。普通なら笑ってスルーしてしまうところを、やはりそのエンターテイメント性と写真制作までの細やかなプロセスに可能性を感じてのメインギャラリーでの個展に発展した企画です。面白ければ何をやってもいい、というのではつまらない展覧会になったでしょうが、岡部さんの作品はものすごく時間をかけて手作業で制作した"舞台"を撮影することで、まるでコラージュのように幾重にも人物を立体的に重ねており、その作業自体がとても楽しく見えるのです。また、今回は作品の魅力をいろいろな見せ方で問いかけられるよう、アクリル作品と額装作品、さらには"舞台"そのものを展示しています。作品がいかに細やかな手作業の上に成り立っているかを見ていただいており、これが人々をうならせている理由です。

9月17日(土)午後4時から岡部東京ギャラリートークも開催します。
参加無料、お申し込み不要ですので、どうぞお誘い合わせの上お越し下さいますようお願いいたします。
ohwada1.jpg
ⓒRYO OHWADA

写真家 大和田良さんの写真展、"FORM-SCENERY SEEN THROUGH BONSAI"展を開催します。

このシリーズは国内外で高い評価を受けている写真家、大和田良さんが東洋の伝統美として人気の高い盆栽をテーマに撮影したシリーズで、今年5月から7月までさいたま市大宮盆栽美術館にて開催され大変好評だったものです。現在東京新宿のB GALLERYと広尾EMON PHOTO GALLERYとで同時開催されている展覧会ですが、10月8日(土)から11月6日(日)まで、TANTOTEMPOにて開催します。 

盆栽という東洋の伝統芸術は、自然とそれに対峙するひととの対話によって成り立つとされ、長い歴史をもち、国内だけでなく海外にも根強いファンがいらっしゃいます。大和田良さんは盆栽の個性や価値を形作る技術、論理と向き合い、写真の手法を丁寧に絡めながら、盆栽の存在理由をこの"FORM"のシリーズで明らかにしています。 大和田さんがどのようにして古来受け継がれてきた東洋的伝統美に対して西洋的美の手法である写真でアプローチするのか、ぜひTANTOTEMPOでご覧ください。非常に美しい作品となっています。

また、この展覧会にあわせて10月29日(土)午後4時から大和田良トークショーを開催します。


FORM -SCENERY SEEN THROUGH BONSAI-
大和田良写真展
2011年10月8日(土) - 11月6日(日)
午前11時30分-午後7時
水・祝日定休

大和田良トークショー
2011年10月29日(土)午後4時から
参加費:¥2,000(レセプション付き)
参加お申し込み先着40名様
当日参加は受付できません。必ず事前にお申し込みをお願いいたします。
お申し込みは
event@tantotempo.jp
まで。
R0012048.jpg【写真展概要】
表題の写真展に参加を希望する写真家を公募します。
この写真展は昨年第1回を開催し大変好評だった企画です。
震災や世相の惨状に少しでも明かりを灯せるよう、また人々の社会への関わりを深められるよう、ひとのこころに届く写真展を公募展として開催します。
【写真展】
HEARTFUL MONOCHROME Vol.2
写真展開催期間:2011年9月22日(木)-10月4日(火)最終日午後5時まで
ギャラリートーク:2011年10月1日(土)午後5時から
各写真家10点の合同写真展
【募集要項・条件】
テーマ:「優しさ」「笑顔」などひとの幸福を追求する表現、あるいはひとの「生きる権利」「社会問題」「地域」に焦点が当てられているアートあるいはドキュメンタリー作品
写真家の条件:原則として40歳以下、プロ・アマを問わない
プリントの種別:作品はモノクロ銀塩写真であり、オリジナルプリントであること
その他の条件:ギャラリートークに参加できること、搬入・搬出ができること(搬入日・搬出:搬入9月20日21日、搬出10月4日PM5-)
本作品サイズ:原則として6切以上
審査員:ハービー・山口氏、TANTOTEMPOディレクター他(未定:交渉中)
審査方法:2段階選考(基本的な技量、テーマの整合性について一次選考があります)
審査項目:作品のテーマ・世界観、写真のメッセージ性、プリントの品質、将来性などの項目について評価をします。また、1次選考を通過した作品について、評価を写真家にフィードバックを予定しています
選出時期:2011年8月31日ごろ
募集数:3名
【応募方法】
まずメールにて申し込みいただきます。追って申し込みに必要な氏名、連絡先、経歴などをご記載いただく申込書を添付した返信をお送りいたします。その書類とポートフォリオをお送りいただいて、参加費をお支払いいただいた時点でお申し込み完了とします。
形態:ポートフォリオ:提出作品は20点以上のシリーズで構成された作品群の一部または全部とし、ポートフォリオ用に作成されたプリントでも可であるが作品と同等のプリント法、品質を持ち、審査中また審査後も要請に応じて本作品を直ちに提出できること
ポートフォリオはフォルダ、ボックス、ファイルに綴じ、すべての作品裏に氏名、通し番号を明記してください(20作品以上の提出が望ましい)
応募期間:2011年7月1日から7月31日(必着:郵送、配送、持込可)
参加費:¥3,000

なお、本写真展に参加した写真家のなかから、特に優れた作品であると判断される写真家について、2012年秋の個展企画を立案することがあります。
本展示の額装は写真家が担当していただきます。(TANTOTEMPOの額を安価でレンタル可能)
R0011043.jpg昨日オサム・ジェームス・ナカガワ写真展が始まりました。初日にも関わらずジェームスさんの展覧会、トークショーにはたくさんの方が来てくださいました。また、多くの写真関係者が全国から駆けつけてくださったのもうれしいことでした。

ジェームスさんといえば沖縄の断崖絶壁をデジタルで何十枚ものイメージを合成して表現したBANTAのシリーズ、同じく沖縄の洞穴を撮影したGAMAのシリーズが有名です。TANTOTEMPOでは昨年のNikonSalonでのジェームスさんの展覧会の期間中TANTOTEMPOを訪れてくださったことから交流を重ね、今回の展覧会にこぎつけました。今回の写真展はジェームスさんの廻-Kai-シリーズで構成されています。これはTANTOTEMPOとして特に強い希望を表明して実現したシリーズで、これらの作品がジェームスの本質的な表現の豊かさをあからさまにしているという点で世界から高く評価されているものです。シリーズは、ジェームスさんの家族を巡るシリーズで、非常にプライベートな作品です。しかし、タイトル「廻-Kai」が示すとおり、すべての写真がしっかりした土台つまり「輪廻」「環の廻り」の上に構成されていて、私たちにそもそも家族とは何なのか、私たちが何処から来て何処に向かうのか、という点に焦点が当てられ、構成されています。その土台=ボディーのうえに家族の喪失と新しい家族の誕生を並列に眺めながら、自らの廻を理解することに注がれます。余命宣告をされたジェームスさんの父と、ほぼ同じ頃に知った妻の妊娠を機に撮り始めたシリーズとして、父の肖像や妊婦の裸婦像、生まれた娘の肖像が美しく描かれていきます。

R0011039.jpg
家族写真や恋人の情景などがどのようにしてアートの装置を持つか、この点についてはある程度写真の理解を進めないとわかりづらい部分があります。昨日行われたジェームスさんのトークショーでゲストである竹内万里子さんがジェームスさんの作品づくりについて問いかけていく中で、やはり作品の美しい佇まいのみならず、全体の土台に何があるのか、ということを話されそれがしっかりしている必要があると話されていました。ジェームスさんは、シリーズを通して普遍的な要素、つまりひとが死にひとが生まれる家庭という最も身近な構造の中にこれらの普遍があり、それがプライベートな意味合いを超えてイメージに付加された時、美しい、意味のあるアートの写真になっていくのだと話されました。加えて、そのストーリーは完全に出来上がったものである必要はなく、ある意味で未完成なものを提示しながら観客がその未完成な部分をその想像力によって補完してこそ作品に輝きが宿る、ということを語っておられました。従って、シリーズには父の肖像と娘の肖像、妻の肖像が混じったかのように提示され、その間に凍った亡き父のジャケットやクリスマスツリーなど一見脈略のない作品が組み込まれることによって、観客がそれらのイメージにどのような意味があるかを作品と対話するそのことにこそアートの意味があるのだ、と語っておられました。竹内万里子さんは非常に的確な進行によって廻シリーズをひもといていかれました。もう一つ竹内さんが投げかけてくださった話題は、この作品が非常に美しい銀塩写真だということです。この美しいプリントの黒の階調は、まるで上質な黒のコードバンのような滑らかで鈍い輝きを放つものですが、僕自身こんなに美しいプリントはなかなか見たことがありません。もともと「ドライブインシアター」のシリーズ、BANTA、GAMAなどもデジタル写真で構成されこれらがジェームスさんの立場を「デジタル写真家」と言わしめる訳ですが、ジェームス自身はそのような分類よりも、このシリーズは銀塩で作るべきだと自ら決定して制作したのだ、とその経緯を話されました。

トークショーの後はオープニングレセプションを開催しました。各地から写真関係者やインディアナ大学のジェームスさんがワークショップで日本に連れてこられた学生の皆さん、竹内万里子さんの大学の学生の皆さんなども参加され、狭いギャラリースペースがいっぱいになってしまいました。

ジェームスさんはオープニングの週末を在廊され、一旦研修地の大阪に戻られ学生たちの教育活動にあたられます。

18日19日にも在廊される可能性がありますので、Twitter @tanto_tempo でフォローください。

18日午前10時からインディアナ大学の学生、関西で写真の勉強をしている学生をTANTOTEMPOに招いてワークショップを開催します。写真の「アートの装置」をテーマに、日米の学生が国別あるいは混成チーム別にディスカッションを行い意見を述べ合うグループワークを行います。興味を持っていただける方はオブサーバー参加が可能ですのでぜひTANTOTEMPOにお越し下さい。


DSC00301.jpg
R0011061.jpg
R0011066.jpg









R0011074.jpg
R0011079.jpg
R0011095.jpg

DSC00113.jpg思い返せば2008年5月10日。TANTOTEMPO誕生のその日。

この時も雨が降っていて、ハービー・山口さんとギャラリー立ち上げにご尽力くださったBlitzGalleryの福川氏を出迎えに栄町通を傘をさして歩いていたのが昨日のことのように思い出されます。昨日も時折激しい雨が降る中、たくさんのハービーさんのファン、またTANTOTEMPOの活動にいろいろ参加してくださっている私たちの友人を迎えて、ハービーさんのトークショーを開催しました。3年というと長いようで短いようで、やはり長い日々でしたが、TANTOTEMPOが少しずつ成長してこられたのは良き写真家に恵まれ、たくさんの写真ファン、友人、また他の写真ギャラリーや関係者のご協力があったからだと実感します。アートや写真界隈のいい話題もそうでないと思われる事柄も、日々写真の勉強をしながら咀嚼し理解するしかない僕たちにとって、3年もよく続けてこられたな、と思いいる一方、経済的には決して楽ではない、むしろかなり綱渡り的な事情を抱えながらの日々である訳で、いろいろな思いが交錯することも確かです。しかし、写真というものはなぜか愛しくなぜか腹立たしいもので、とすると何やらギャラリーを育てていることが息子か娘を育てているかのようにも思えてきて不思議な気持ちにとらわれることもあります。もちろん、その息子あるいは娘は出来が良い訳はなく、相当な放蕩ぶりともいえるのですが、何か愛しいものである訳です。

ハービーさんのトークショーはいつも本当に驚かされます。集まってくださる方々の熱心さやリピーター率もそうですが、やはりトークのすばらしさが際立ちます。昨日のテーマは旅。今回の写真展はMy Journey, My Photographyと題したハービーさんの新しいシリーズの立ち上げでもあった訳で、ロンドンに渡ってそこからさらに旅を重ねていく若者の瑞々しくも甘酸っぱい世界観が十二分に見てとれるシリーズになっているその理由をユーモアたっぷりに話してくださいました。若者特有の「荒削り」なものは何もなく、あくまでも繊細に世界の感触や距離を手を伸ばして触れて計っているかのような、そんな作風のように感じられます。そしてそれが写真を撮る上での変わらないセンスによって美しく修飾されている、そんな写真の世界が今回の"Oil, Pride & Crisis"というコンセプトの上に描かれているのですが、トークショーではもちろん数々の撮影秘話が明かされて大変楽しいリズムのあるトークでした。日本写真協会賞作家賞を受賞されたことを会場全体が喜びを共有し、TANTOTEMPOでの写真展や兵庫県西脇市の西脇病院で開催されているARTinHOSPITAL/ART PROMENADE in 西脇病院の「ハービー・山口写真展」のことをご自身がFM放送の全国ネットで紹介されるなど、また東日本大震災の支援のためにSocio Arteや他にもたくさんの支援活動に参加されたことなど、ますます写真活動の中において写真家としての社会参加や写真のポジティブな表現について本当に多くの教唆をお示しいただいたトークショーだったと思います。いつも通り予定時間を大幅に越える2時間に渡るトークでしたが、会場の参加者の皆さまも狭くて蒸し暑い中本当に節度のある美しい姿勢でおつきあいしてくださり、主催者として本当に嬉しい気持ちでいっぱいでした。

今後の活動については、社会的にインパクトを与えうる若手の発掘を特にポジティブな表現に訴えるものの中から見いだすこと、またそれを海外へいち早く売り出すチャンネルを構築すること、国内や海外の主要な写真イベントの主催者へのインタビューをとること、海外進出を希望する写真家のとりまとめ事業、また僕自身の活動としてはARTinHOSPITALの活動をTANTOTEMPOの事業の柱に育てること、今年中に写真に関連する著作を書き上げること、などなど。直近の目標はレビューサンタフェの主催者への取材と若手写真家のポートフォリオ、写真集をアメリカやパリのギャラリーに持ち込むことなども実施予定です。

トークショー後は山田の作った手作り料理で50名あまりの参加者の皆さまとともにハービーさんの写真展のレセプション、またTANTOTEMPO3周年のお祝いを盛り上げていただきました。ひとの笑顔が途切れることなく、参加者一人一人と談笑され、即席のレビュー、撮影などたくさんの交流をされて久しぶりの神戸を楽しまれて帰られたのではないかと思います。TANTOTEMPOにとってもこの上ないすばらしいお祝いでした。参加者の皆さん、ハービー・山口さんにこの場をおかりして深く感謝申し上げます。

写真展は6月5日までです。ぜひTANTOTEMPOにお越しになってご覧ください。
R0010929.jpgTANTOTEMPO設立3周年を記念する写真展として、ハービー・山口さんの写真展が5月7日から始まっています。

今回はオープニングなどで特別な行事は行わず静かな滑り出しですが、連休最後の週末ということもありたくさんの方が来廊くださいました。

今回のシリーズはハービーさんの1970年代のシリーズで、ロンドン滞在時に世界中を席巻したオイルショックに触れてハービーさん自身がクウェートに入り撮影した"OIL PRIDE & CRISIS"シリーズを本邦初公開でご紹介するものです。日本でも高度成長期にオイルショックのためにトイレットペーパーや石油製品が買い占められ、社会が大変なパニックに陥ったことを記憶されている方も多いと思います。産油国と欧米列強との駆け引きによってもたらされたこの社会騒動について、ロンドンから世界を眺めようとしていた若き写真家が大変興味を持ち、クウェートに入って石油の匂いに身を寄せるという体験をするのです。
クウェートで目撃するものは何か、第4次中東戦争の陰でペルシャ湾岸諸国が欧米列強に対して反イスラエルの道具として行った原油減産という出来事が、かずかずの優れた、素直な視点で写真にきりとられています。

40年間作風が変わらない、とハービーさんご自身も話されるように、ハービーさんの写真に対する基本的な姿勢は1973年のこのシリーズから現在まで変わっていないように思います。人々の飾らない姿を撮影して人の優しさや力強さに訴えたり、胸を打つ光景を切り取る能力は、まさにハービーさんのセンスの高さそのものです。それは1970年代にロンドンに渡るときから現在に至るまで全くぶれることなく常に高い位置に保たれており、本当にすばらしい写真活動だと思います。4月には日本写真協会作家賞にも選出され、まずます写真界のみならず社会への影響を強めていかれるのではないかと期待しています。

"A Scent of Oil"をTANTOTEMPOでぜひご覧ください。

なお、本展覧会のトークショーについて、ひと言皆さまにお詫び申し上げます。4月初旬のHP告知から順次参加者の募集をおこなってまいりましたが、写真展開始時点でハービーさんのトークショーは満席となっております。大変申し訳ありません。キャンセル待ちもあまり期待できない状況ですので、どうぞご理解ご協力をくださいますようよろしくお願いいたします。本写真展にて本シリーズまたはハービー・山口さんの他のシリーズ作品をお買い上げいただきますと、数席ですが優先で固定席をご用意することになっています。ぜひ作品お買い上げをご検討くださいますようお願いいたします。

twitter

2011年12月

Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
Powered by Movable Type 4.1