Event: 2011年6月アーカイブ

47CE0230-EBCA-4EDA-B058-CD83038D9CC4.png表題の写真展が今週末開催されます。多くの方がお出かけくださいますようお願いいたします。

インディアナ大学はオサム・ジェームス・ナカガワ氏が主導するワークショップの一環として参加、すべての学生のレベルの高い写真表現をご覧いただくことができます。

アメリカの表現、また日米の写真に対する認識の差異なども見ることができる展覧会となるはずで、とても興味深い写真展です。

会期が二日しかないこともあり告知しました。


6月24−25日
午前10時から午後6時
日本写真映像専門学校ホール1F

6月25日午後1時からクロージングパーティを開催するようです。

多くの方の訪問を希望いたします。
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去る6月2日からアメリカ、サンタフェで開催された写真イベント、ReviewSantaFeを訪問し取材を行ってきました。この写真のイベントは非常に高いクオリティの写真家が集まること、またレベルの高い写真の担い手が集まってレビューを繰り広げることで有名で、大変興味深い写真の枠組みです。

現在僕は、様々な国、地域の写真の構造を直接みること、またそれらがどのように社会に組み込まれ文化芸術に寄与しているのか、また各国のアート教育の現状を見るために世界各地を訪問し、著作の執筆を行っています。昨年もフランス、アルルを訪問、アルル国際写真フェスティバルを取材したのですが、今回はレビューサンタフェの訪問を計画、この枠組みを運営しているCENTERという組織に取材を申し込み、特別に許可されたため6月1日に日本を発ってアメリカ、ニューメキシコ州のサンタフェという町を訪問しました。

ニューメキシコはもともとインディアンの統治していた土地だったそうですが、スペインの統治を受けたりアメリカの西部開拓の流れの中でアメリカに組み込まれた歴史があり、サンタフェはその中でもとても古い町として発展しました。写真のような曲線を伴った土壁でできた建築物が特徴的で、一年を通して降雨も少なく非常に過ごしやすい土地です。主要な産業がアートと観光というだけあって、アートの取引規模は全米でNYに次ぐもので、従ってサンタフェの何処を歩いてもギャラリーがひしめき合っています。

アメリカではヒューストンなどの大きな写真の枠組みがたくさんありますが、レビューサンタフェは非常にユニークな運営をしていることで有名です。このレビューは、まず一次選考を通過するのが大変です。また、アメリカの主要な美術館のキュレータや著名ギャラリー、アートコンサルなどがレビューすることで非常に発展的に写真アートの最先端の活動に参加できる可能性があり、アーティストにとっても非常に挑戦しがいのある枠組みと言えます。さらに、レビュー自体はクローズドですが、オープンポートフォリオビューイングという一般公開の仕組みも持っていて、これがものすごいことになっていてとてもインパクトのある写真イベントでした。日本からはPhotographerHALさんとTANTOTEMPOでもおなじみの保坂昇寿さんがレビューを受けることのできる100人に選考されており、こちらも善戦は予想されたものの終わってみれば思いがけずの大活躍でした。僕はこの運営組織CENTERのトップへのインタビュー、またレビュアーや写真家からもいろいろ話を聞いており、MFAやBFA、各種グラント、ファンドレイジング、アート教育といった写真に関する思想やインフラの高さにただただ感銘を受けるばかりでした。しかし、日本の写真活動にもすぐに取り入れることのできる活動のヒントもたくさん受け取ることができ、大変有意義な訪問だったと思います。

このイベントの報告会を下記のごとく7月9日(土)午後7時から、TANTOTEMPOにて開催いたします。「スライドショーとムービーでつづるアメリカの写真の現実」と題したトークショーにぜひお越し下さい。
ゲストにベルギー在住の写真家、井本礼子さん、日本からこのレビューに参加されたPHOTOGRAPHER HALさん、保坂昇寿さんを迎え、彼らにもトークにご参加いただきます。
多くのご参加をお願いいたします。

題目:レビューサンタフェ「スライドショーとムービーにてつづるアメリカの写真の現実」
1.アメリカ在住の日本人写真家のスタジオ訪問(サンフランシスコ・兼子裕代さん)(杉山)
2.サンタフェの町と歴史、産業(杉山)
3.レビューサンタフェの概要(杉山・井本)
4.レビューの様子と日本人の活躍(杉山・保坂・HAL)
5.オープンポートフォリオビューイングと海外の写真家紹介(杉山)
6.写真のクラスとBFA、MFA(杉山・井本)
7.アート教育と写真(杉山・井本)
8.CENTERのディレクター、ローラ・プレスリーさんインタビューから見えるもの(杉山)
9.日本の写真への提案と計画(杉山・井本・保坂・HAL)
10.海外レビューに挑戦しよう(意識変革の必要性とその戦略)(杉山・井本・保坂・HAL)
(内容は予告なく変更の可能性あり)
日時:7月9日午後7時(午後6時50分開場)
会費:1,500円(ソフトドリンク、ビール、ワインなど1ドリンク、軽食付き)
TANTOTEMPOディレクターのうまうまカレーなど(変更の可能性あり)
追加ドリンク(300円/ドリンク)
ゲスト:海外で活躍している写真家・井本礼子さん、日本から参加した保坂昇寿さん、PhotographerHALさん
お申し込み:要:
event@tantotempo.jpまでメール、あるいは078−393−0810まで電話にてお申し込みをお願いいたします。


R0016316.jpgTANTOTEMPOでは、これまで写真を学ぶ神戸の学生を集めてアート教育の実践の可能性をいろいろ探ってきました。写真集を読んだり、実際に写真というアートについて、一枚の作品にこめられた作家の思いをどのように読み取るかを若い世代のうちから考えることで、作品の意味と価値を読み取るトレーニングをすること、それを写真の制作に応用することがとても大事だと考えているのです。

写真の価値を考えた時、多くの日本の写真家は自らの作品に芸術文化的な、あるいはコモディティーとしての価値を描くことができません。また、自分の作品の売りが何処にあり、何を軸に社会に問いかけているのかを明確に語れる写真家もとても少ないと思います。社会に問いかける、という厳しい評価軸に自分をおいて勝負をしていることが少ないからで、本質的に日本の写真は閉じた輪の中で漂っているようにしか見えないことが多く、これが写真に関わる人々の実に95%を占めると僕自身は考えています。

さて、インディアナ大学のオサム・ジェームス・ナカガワさんのクラスの学生が10名ばかり来日し、約3週間に渡り大阪をベースに写真のワークショップを受講、精力的に多くの写真活動をおこなっています。これに合わせ、神戸の写真を学ぶ学生8名とジェームスさんの学生スタッフ7名が写真を巡って意見交換をするワークショップを今朝TANTOTEMPOにて開催しました。

ワークショップはグループ演習の手法で進め、まずお互いの紹介を通じて打ち解け合うアイスブレーキングの時間を取りました。日米の学生二人ずつがペアになり3分間でおのおの自己紹介を行い、その後1分ずつ自分が話した相手の紹介をする「他己紹介」を行いました。神戸の多くの学生は英語にチャレンジして相手の紹介を行っていましたが、皆が物怖じせずよくがんばったと思います。

続いて日米の混成チーム二つにわかれ、それぞれに一冊写真集を与え、その写真集のイメージの中にあるあらゆる写真の要素や素材、断片を抽出して書き出すよう課題を出しました。発表者役を決め、書記、司会役をきめて、10分あまりで要素の抽出を行いました。つぎに、それらの要素のうち最も人々に強い印象を与える事柄をアートを構成するモチーフとして再構築するように促しました。これには15分をかけ、最終的に二つのチームがそれぞれ発表者によってその写真のアートたる理由を説明していただきました。

与えた教材は、Aチームは楢橋朝子氏の作品集「half awake half asleep in the water」、BチームはMassimo Vitaliの「Landscape with Figures」でしたが、それぞれの発表は文句なしの要点を得たものでしたし、Aチームは特に最近の津波被害の様子をひいて、いわゆる溺れることの恐怖という視点を楢橋さんの作品に加える非常にレベルの高いプレゼンテーションでした。

次に、ジェームスさんの作品"Kai"について、パーソナル(プライベート)な作品がどのようにしてアートの構造の中に組み込まれるかを、ジェームスさん自身が世界中のプライベートな作品を制作する写真家に焦点をあて紹介し、家族写真という構造の中にある被写体と撮影者の親密さ(intimate)こそが作品と観客の対話の糸口になる、との考えを話され、日本の最近の表現の内向きさの中にはこの親密さの提示がなく対話が成り立たないものがあるのではないか、という意見を述べていました

最後にジェームスさんによってインディアナ大学の学生たちが製作中のシリーズの紹介がスライドショーでなされましたが、ほとんどの学生がBFAあるいはMFAの経過中で、いわゆるアートの最も高等な教育を受けているだけあって、ものすごいレベルの高いアート性の高い作品を制作していたのが印象的でした。これには日本の学生も驚いたと思いますが、この差こそ私たちが今後埋めていかなくてはならない写真の構造の差異でもある訳です。ジェームスも言っていましたが、今日行ったワークショップは、アメリカではアートの基礎的な教育の中で繰り返し繰り返し行われるべき初期の教育だと考えられています。自分の作品で何を訴えたいのか、どう訴えるのか、どれくらいの価値があるのかを、グループワークを通じて認識していく方法は、お互いにクリティカルになれない相互依存型の写真の世界を構造する日本とは全く異なります。

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2時間半の非常に短い時間でしたが、特に日本の学生にとっては有意義で面白いワークショップになったのではないかと思います。ワークショップ後の茶話会では日米の学生が写真について話し合う目的通りのワークショップとなり、ジェームスさんもこういう機会はなかなかないから面白い、またぜひ機会を作ってやりたいね、と話されていました。参加された学生の皆さん、ジェームスさんとインディアナ大学の学生・スタッフのみなさん、おつかれさまでした。


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