約6週間にわたって開催してきたMeg Birnbaum写真展が今日終了しました。その間、本当に多くの一般のかた、写真愛好家の来廊に恵まれた写真展でした。写真展にはMegさん本人も登場し、初めての日本、初めての神戸でしたが大変すばらしい訪問だったと感激して帰国されました。
そもそもMegさんの写真展を企画するきっかけになったのは、世界中から集まってくる写真家のうち、優れた世界観をもつ写真家に展示の機会を与えているウェブサイトの存在があります。残念ながら日本人の紹介は皆無ですが、ちゃんと作品と向き合う作家ならチャンスはあるだろうと予想されます。TANTOTEMPOは常に外部から実力作品を探す努力をしているし、写真家がレビューを求めてギャラリーを訪れた場合、一定の条件でかならず写真家と会い作品に目を通しています。とにかく、海外の作品を多く展示する今年のTANTOTEMPOの活動にあわせ、約1年前から連絡をとりあい、写真展を開催した訳です。
Megさんの写真のいいところは、写真歴が長いにも関わらずマーケットに出てきた歴史が比較的浅いことだと思います。基礎的な写真教育ができるほど優れた知識を貯えながら、実際にはグラフィックデザイナーとして写真から常に一定の距離を保ち、あまり深入りしなかったことも結果的に良かったのかもしれません。結局デザイナーの仕事はリストラに遭い失いましたが、それがきっかけで本格的な写真活動を開始したのです。今から9年前のことです。それ以降いろいろなグループ展、個展を経験し、最近は作品が企業や美術館のコレクションになるまでに至っているし、昨年秋の中国のアートフェア参加、日本での企画展、そして今年後半にロシアからオファーを受けている状態で、かなりアクティビティーを高めていると思います。作品はとても落ち着いていて、とりたてて新しいアイデアで撮影されたものではありません。それにも関わらず高い評価がなされていることが、日本から見ると不思議な気もします。しかし、実力やスタイルに応じてアートの立ち位置を勝ち取れるアメリカの写真システムからすると、ごく自然なことかもしれません。アート色の強い新しい表現ばかりが脚光を浴びる日本とは大きく異なるシステムだと思います。本当にオーソドックスな写真にもチャンスが与えられているのです。
結果的に、今回の写真展では10作品が販売されました。そしてそのすべてが結果的に銀塩の写真となりました。同じイメージでインクジェット作品もあることから、またインクジェットの価格を銀塩より若干低く設定したことから、インクジェット作品が売れるのではないかと思っていましたが、見事に期待を裏切られた訳です。また、そのほとんどは15inchの大作品でした。これも少しびっくりしましたが、15inch作品と9.5inch作品の価格差がさほどないことから、ある意味では15inch作品の方にお買い得感があったものと思われます。お買い上げいただいた方の平均年齢は40台後半あたりか。何より、写真アートとしての価値と価格の相性がとても良いと判断されたような気がします。つまり、現在の経済状況からするとアートにお金をつぎ込める状況はなかなかないのかもしれないけれど、さほどリスクのない価格で程度のいい美しい写真作品が購入できるという、リーズナブルな価格だったということなのかもしれません。実際、安すぎるという意見も多かったのですが、おそらくあと100ドル高いと全く売れなかったのではないかとも思えます。
僕は新しい写真世界も好きですが、現代の評価軸の見えない写真のフィールドで一般の方に難しい作品をすすめても、東京の人口を抱えればいざしらず、関西では苦戦するだろうと思っています。いちいち説明をしなくても立ち上がる世界観があれば、その世界観を少しでも一般に伝えるギャラリーとしての言語があれば、値段と実際にイメージできる写真の価値とが結びつく限りにおいて写真は売れると思うようになってきています。
写真を読み解くことを神戸で少しずつ広めていきたいと思っています。
Megさんを見つけたウェブサイトはこちら。ぜひご覧ください。
http://www.photoeye.com/Index.cfm
TANTOTEMPOは引き続きMeg Birnbaumさんの写真を取り扱います。ご覧になりたい方は、事前にご予約をお願いいたします。