Diary: 2010年3月アーカイブ

R0010822.jpgnomoto piropiro展が始まりました。初日の今日からたくさんの来廊者でにぎわっています。

今日は神戸も快晴だったこともあり、栄町通は多くの人でにぎわっています。今は少し陰っていますが、国道も大混雑のようです。昨夜はかなり冷え込みましたが、そのせいで最近の暖かさに薄着になった人たちが少し寒そうに歩いています。

nomoto piropiroさんは、昨夜作品の設置のためにTANTOTEMPOに来ていただきました。僕が駆けつけた時にはもう既に設置はおおかた終わっていました。ブルーグレイのクールな写真がアクリル・アルポリックでフォーマットされていて、完成度の高いかっこいい写真だと思います。特にA1作品はとても迫力があり、白壁のある黒を基調とする家具のモダンリビングに特にマッチします。

今回の写真展は、大阪帝塚山画廊の南堀江移転後の初企画である"into the silent land / osaka"との連動ですが、大阪は迫力の大作品が中心です。神戸は逆にA2作品を中心に、A3作品もあり、大変お求めやすい構成になっています。人物が写っている写真が過半を占めますが、これらの作品が特にカッコいいので、TANTOTEMPOにお越しになりぜひご覧いただきたいと思います。

帝塚山画廊の展示が始まる4月9日からは双方のギャラリーの展示風景を相互に中継します。双方のギャラリーの来廊者同士がコミュニケーションできるようにする予定です。

お楽しみに。

R0013573.jpg約6週間にわたって開催してきたMeg Birnbaum写真展が今日終了しました。その間、本当に多くの一般のかた、写真愛好家の来廊に恵まれた写真展でした。写真展にはMegさん本人も登場し、初めての日本、初めての神戸でしたが大変すばらしい訪問だったと感激して帰国されました。

そもそもMegさんの写真展を企画するきっかけになったのは、世界中から集まってくる写真家のうち、優れた世界観をもつ写真家に展示の機会を与えているウェブサイトの存在があります。残念ながら日本人の紹介は皆無ですが、ちゃんと作品と向き合う作家ならチャンスはあるだろうと予想されます。TANTOTEMPOは常に外部から実力作品を探す努力をしているし、写真家がレビューを求めてギャラリーを訪れた場合、一定の条件でかならず写真家と会い作品に目を通しています。とにかく、海外の作品を多く展示する今年のTANTOTEMPOの活動にあわせ、約1年前から連絡をとりあい、写真展を開催した訳です。

Megさんの写真のいいところは、写真歴が長いにも関わらずマーケットに出てきた歴史が比較的浅いことだと思います。基礎的な写真教育ができるほど優れた知識を貯えながら、実際にはグラフィックデザイナーとして写真から常に一定の距離を保ち、あまり深入りしなかったことも結果的に良かったのかもしれません。結局デザイナーの仕事はリストラに遭い失いましたが、それがきっかけで本格的な写真活動を開始したのです。今から9年前のことです。それ以降いろいろなグループ展、個展を経験し、最近は作品が企業や美術館のコレクションになるまでに至っているし、昨年秋の中国のアートフェア参加、日本での企画展、そして今年後半にロシアからオファーを受けている状態で、かなりアクティビティーを高めていると思います。作品はとても落ち着いていて、とりたてて新しいアイデアで撮影されたものではありません。それにも関わらず高い評価がなされていることが、日本から見ると不思議な気もします。しかし、実力やスタイルに応じてアートの立ち位置を勝ち取れるアメリカの写真システムからすると、ごく自然なことかもしれません。アート色の強い新しい表現ばかりが脚光を浴びる日本とは大きく異なるシステムだと思います。本当にオーソドックスな写真にもチャンスが与えられているのです。

結果的に、今回の写真展では10作品が販売されました。そしてそのすべてが結果的に銀塩の写真となりました。同じイメージでインクジェット作品もあることから、またインクジェットの価格を銀塩より若干低く設定したことから、インクジェット作品が売れるのではないかと思っていましたが、見事に期待を裏切られた訳です。また、そのほとんどは15inchの大作品でした。これも少しびっくりしましたが、15inch作品と9.5inch作品の価格差がさほどないことから、ある意味では15inch作品の方にお買い得感があったものと思われます。お買い上げいただいた方の平均年齢は40台後半あたりか。何より、写真アートとしての価値と価格の相性がとても良いと判断されたような気がします。つまり、現在の経済状況からするとアートにお金をつぎ込める状況はなかなかないのかもしれないけれど、さほどリスクのない価格で程度のいい美しい写真作品が購入できるという、リーズナブルな価格だったということなのかもしれません。実際、安すぎるという意見も多かったのですが、おそらくあと100ドル高いと全く売れなかったのではないかとも思えます。

僕は新しい写真世界も好きですが、現代の評価軸の見えない写真のフィールドで一般の方に難しい作品をすすめても、東京の人口を抱えればいざしらず、関西では苦戦するだろうと思っています。いちいち説明をしなくても立ち上がる世界観があれば、その世界観を少しでも一般に伝えるギャラリーとしての言語があれば、値段と実際にイメージできる写真の価値とが結びつく限りにおいて写真は売れると思うようになってきています。

写真を読み解くことを神戸で少しずつ広めていきたいと思っています。
Megさんを見つけたウェブサイトはこちら。ぜひご覧ください。
http://www.photoeye.com/Index.cfm

TANTOTEMPOは引き続きMeg Birnbaumさんの写真を取り扱います。ご覧になりたい方は、事前にご予約をお願いいたします。
R0013628.jpg昨日、神戸ファッション美術館にて開催中のKobe Art Collection 2010の一環として、馬場伸彦甲南女子大学メディア表現学科教授の講演会が開催されました。

馬場先生はTANTOTEMPOとも関わりがあり、写真論に関して非常に大きな見識があります。また、写真を中心としたメディアの役割について深く研究をされています。

昨日の講演会では、特にファッション写真の系譜について、多くの画像を引用しながら時代を追いながら丁寧に語っていただきました。写真が出現した黎明期の動き、つまり肖像画からポートレイトへの流れをかたちづくりながら急激に発展した写真、スタイケンの当時から始まったモダニズムと女性の美の追求、Vogueなどの紙面を飾ったファッション写真、ココ・シャネルの登場とヘルムート・ニュートン、ピーター・リンドバーグ、ハーブ・リッツなどがその後のモードに及ぼした影響などについて説明がなされました。その後もパトリック・ディマシエリエ、アーヴィン・ペン、リチャード・アヴェドン、アニー・リーボヴィッツ、古くは植田正治、アウグスト・ザンダーなどがある種の身体性と時代性を記号化してのアート写真として表現の最先端に立ち続けた経緯が示されました。写真家とその作品を通じて、女性の身体、その身体を覆うモードとそれをメディアとして取り上げた写真という媒体について、明快に語ってくださいました。特にヌード写真が表現する女性の身体への礼賛と常に先端のモードに関与した写真メディアについての話は大変参考になりましたし、この部分の解釈は特に現代の写真を理解する上で絶対に学んでおくべきことだと思われました。ヘルムート・ニュートン以降、現代のファッション写真が単にモードを見せるのではなく、まず身体を見せることで女性の美へと帰着する、つまりモードを表現することになった経緯の説明は大変興味深いものでした。

神戸ファッション美術館は大阪大学現総長の鷲田清一氏の監修のもと数多くの著名写真家のオリジナルプリントのコレクションを所有しています。その数は約2,000点にも及び、現在学芸員と馬場先生などがそれらを分類し整理しているところだそうです。今後様々な機会に市民に公開する仕組みを構築していくことになっています。TANTOTEMPOとしてもこれらの活動に協力していきたいと思っています。

なお、この講演会の模様はUstreamにて配信されました。が、画像は少しお見苦しいかと思います。現在HDビデオにて配信できるよう、新たに映像を準備中です。しばらくお待ちいただければ幸いです。

http://www.ustream.tv/channel/tantotempo
R0010800.jpgMeg Birnbaumさんの写真展がいよいよ今週末で終了します。

先週末にはトークショーが開催され、写真愛好家や写真家など多くの方が集まりました。トークショーでは自身の作品にまつわる物語や、写真教育に関わった経験から、アート写真を制作するのに重要なヒントともいえるいくつかの作家、作品を紹介していただきました。

特に、ただ美しいものを見てそれを写真に写すことには全く意味がなく、どうしてそれを写す必要があったのかという理由付けにこそ意味がある、との持論を話されたのが印象的でした。アートは視覚と対象との関わりなのでは決してなく、あくまでその行為に行きつく撮影者のこころの行いなのだと明確に何度も発言していました。この点は、特に日本の若い写真家の皆さんにもう一度考えていただきたいと思います。美しいもの、整ったものをただ撮るのではなく、どうしてそれに惹き付けられるのか写真の中で説明がなされるべきだ、というなのだと思います。この点を特に理解しないと国際基準に届く写真は撮れないし、写真活動は平坦となり意味を持たないと考えるのは僕も同じです。

Megさんはいったん神戸を離れ奈良、京都と旅をしています。今夜神戸に戻り明日帰国の途につきます。

来廊者の評価も大変高くプリントも期待以上にセールスがなされました。プリントのクオリティーに対して価格が大変お求めやすいものだからだと思います。Megさんの写真展もあと週末をひとつ残すのみとなりました。今週末、21日(日・祝)は祝日ですが営業いたします。22日(月・振替休日)は休業いたします。カフェもギャラリー展示もありませんのでお間違えのないようお願いいたします。

今週末はぜひギャラリーにお越しになりMegBirnbaum写真展をご覧ください。

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