Diary: 2009年6月アーカイブ

R0012844.jpg6月27日にふせ直樹さんのギャラリートークを開催しました。たくさんの方に参加いただき大変盛り上がりました。

まずふせさんが写真家を目指すようになった放浪生活の途中で出会った長崎の祭りの話をお聞きしました。続いて、これらの写真を持ち込んだあらゆる写真雑誌、出版社にことごとく跳ね返された経験について話を聞くことができました

ここでふせさんの作品を取り上げたアサヒカメラ元編集部のNさんにご登場いただきました。Nさんは現在はアサヒカメラを離れて朝日新聞におられますが、ふせさんのイメージを見たときに感じた率直な印象を語ってくださいました。そしてなかなか優れたセンスを持った写真家が登場しない現状にあって、ふせさんがいかに面白い視点で写真を撮っているのかを説明してくださいました。きれいな整ったものをいくら持ちこまれても編集者としては取り上げられない状況があると思います。そんな中ふせさんのもつ可能性、将来性について語っていただいたのはギャラリーとしても本当にうれしいものです。

ふせさんの写真展は、ふせさんの写真を巡る技術的な問題から開催自体も大変難しいものでしたが、ギャラリーとしてはふせさんのキャラクターを含めぜひ紹介したいと考えて準備を進めてきました。いざ開催してみると来廊者の方々の反応はきわめてよく、多くのメディアに取り上げられたこともありたくさんの方が訪れてくださいます。この手のドキュメンタリー作品の展覧会としては異例の作品販売も既に7点ばかり果たしています。これは僕としても読めなかった展開です。

彼が苦労を重ねて生きて行く中で、それでも彼が人々にやさしい視線を投げ掛けていること、地方の祭りというモチーフの中に日本人本来の温かで伝統を守り続ける気持ちをとらえていることを考えると、彼のような地味だけれど確かな意思を掲げて撮影を続ける姿勢というのは確かに貴重なのだと実感しています。

ふせ直樹写真展は残すところあと1週間。皆さんもぜひTANTOTEMPOに足をお運びください。



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ふせ直樹さんの写真展が始まりました。
昨年秋のアサヒカメラの巻頭ポートフォリオに登場して以来、新聞、雑誌など様々なメディアに取り上げられている現在売り出し中の写真家です。神戸出身ということもあり、TANTOTEMPOにポートフォリオを持ってきていただいて作品を拝見したところからこの企画展が立ち上がりました。
作品を拝見したときの第一印象は、つかみ所のない写真、の一言につきる写真だったわけですが、たくさんの写真を見せていただくにつれ、次第に魅力のある力強い写真だと理解するようになりました。気取ったところ、気負ったところが全くなく、写真の技術や美しさを追求する昨今の写真家のスタイルとは正反対で、むしろ整ったものを極力排除しているようにも見えます。従って、どのイメージも荒削りに見えるし、対象も構図もバラバラ、果たしてこれで写真展が開けるのだろうかと、最近は胃が痛む毎日でしたが、ようやく昨夜展示を終えました。ちょっとした仕組みを思いついたことで、問題が氷解しました。彼らしい、いい写真展になるのではないかと楽しみです。

ふせさんの写真は日本各地のお祭り、伝統祭事や古典芸能にフォーカスした写真です。フットワークを駆使して祭りに出かけ写真を撮るということ自体は誰にでもできることですが、祭り人たちとふせさんとの距離感が絶妙です。祭りに組み込まれる距離ではないのだけれど、汗がかかる程度には近いのだと思います。よってそこに踊る祭り人たちの躍動感はすごいものがあります。そしてこの距離感は、祭りの外から関わるものにとって最も祭りに近いところなんだろうと思います。

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今回の写真展は"DOORS"というタイトルです。地方の祭り人たちが見せる生き生きとした表情と都会人の疲れた表情との間にドアを設定して見せているのです。都会に生きる人々の中にも故郷の祭りに参加する人は多いと思います。日頃大変な思いをして生きている彼らが、祭りの中でどうしてこれほど楽しげな表情をするのか、故郷を持たないふせさんが感じた疑問がこの写真展のコンセプトにつながっていくのです。誰しも心の中にドアを持っていて、そのドアの向こう側とこちら側で全く異なった一面を見せてくれる、そんなアイデアが込められているのだと思います。それはまたふせさん自身の心の中にあるドアでもあり、彼自身がドアのたもとに立って厳しい世界の側から躍動感あふれる祭りの世界を憧憬の気持ちをこめて眺めている、ということなのだと思います。

ふせ直樹写真展"DOORS"をぜひTANTOTEMPOでご覧ください。

なお、ふせ直樹さんを迎えてのギャラリートークが6月27日に開催されます。午後5時開始、参加無料です。ふるってご参加ください。