Diary: 2009年2月アーカイブ

SNOWY

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Farewell you.


積み重なるような雪面のみせる造形と、どこまでも純粋に見える雪の白さ。
凛と澄み渡った空気感と静寂、情景に緊張をもたらす光と陰。

廃墟のそもそもの始まりは、この国を立ち上がらせた産業の興隆にある。人びとがまだ小さな藁葺きの木造の家に住み、畑を耕し、糸を紡ぎ、蠟燭の灯りで暮らしていた頃、西洋から始まった産業革命が遠くこの国にも飛び火し、国力高揚を掲げた政治と資本があらゆる資源に手をつけ始めていた。資源の眠っていた小さな村は、瞬く間に人を集め町となり、多くの労働者でにぎわったという。幾度もの戦争がこれらの町をさらに大きくした。

萩原義弘の"SNOWY"を見ていると、僕には音が聞こえる。これらの町の生活や産業の賑やかしい音が聞こえてくる。

石炭に代わり石油の時代がやってきた。諸外国から安価な資源が流れ込み、国内の資源開発の意味合いも薄れてくる。人びとは都市開発に駆り立てられ、山奥深い町よりはまた異なった夢を求めて都市に移り住んだ。石油製品があふれ、土の道路がアスファルトに置き換わり、冷蔵庫やテレビといった文明のにおいのする道具が日本中を埋め尽くすことになる。巨大資本は、もはや町には用はなかった。町は打ち捨てられ、寂れ、人が流れ出るのを留めるすべを失った。

崩壊の音もまた、"SNOWY"を見ていると感じられるのだ。

僕たちは今、確かに豊かな世界に生きている。経済に翻弄される構造は、遠く資本主義がうぶ声を上げた18~19世紀の西洋にさかのぼるが、この構造は間違いなく多くの遺産をも世に産み出している。打ち捨てられていくもの。見放された町。世界を支えていたものが、明日には消えていくという現実も、何も炭鉱や鉱山に限らない。僕たちは、でも、こういう世界に生きているのなら、僕たちのくらしを支えてくれていたはずの失われたものたちに、少しだけこころを向けていてもいいと思う。世界がめまぐるしく移り変わり、政治や経済や社会や人の関わりのすべてが薄く劇場化してリアリティを失ったかのように見えるのは、資本主義の結末なのか。それとも新たな構造の始まりなのか。人のこころにも、豊かさを求めるあまり置き去りにしたものがなかったか。僕たちは次の世界に責任を果たすことができるのだろうか。

萩原義弘の"SNOWY"から聞き取れる音は、静かに僕のこころに降り積もっている。しんしんと降り続く雪のように、積み重なり、解け、また降り積もって、音もなくこころを締め付ける。いつか廃墟が完全に分解されるとき、世界はどうなっているのだろうか?
僕には決してわからない、雪のみぞ知る、だ。

雪はどこまでも純白だ。

萩原義弘さんの"SNOWY"は3月1日(日)まで。
IMG_7683.jpg大変好評を博しているSNOWYですが、会期も残すところ今週末、来週いっぱいとなりました。

これまでたくさんのメディアにも取り上げていただき、最終週にも新聞に掲載される予定です。さらに、訪れてくださった来廊者の方々から印象をお聞きすると、本当にすばらしい写真展だ、意外な光景にしばし見とれてしまった、考えたこともなかった歴史的な事柄に触れ切ない気持ちになった、などの感想を寄せてくださっています。

作品は順調に販売され、なんとアメリカからもプリントの発注を受けることができました。SNOWYの写真集を手に入れた萩原さんのファンが世界中にいて、一連の作品群を眺め、プリントを手に入れたいと思ってくださる方がいらっしゃることは本当にうれしいことだと思います。メールでのやり取りの中で、プリントの品質や状態を気にされていましたが、大丈夫、完璧な状態ですばらしいオリジナルプリントですよ、と伝えると安心されたようです。

このシリーズのすばらしさに触れてみて作品を手に入れたいと思ったら、ぜひスタッフまでお声をおかけください。モノトーンなモダンリビングルームに飾ってみるとおそらく完璧に調和するし、実は白を基調としたナチュラルウッドを多用した明るいフローリングの部屋にも合うと思います。この場合は、作品を壁掛けせず、床から壁にたてかけて設置すると効果的です。額装作品のそばに小さなフロアライトを設置すると、ものすごくカッコ良くなります。

写真展"SNOWY"が終わるといよいよ本格的な春がやってきます。過ぎゆく冬の最後の二つの週末、あなたもTANTOTEMPOでSNOWYをご覧ください。
R0010527_2.jpg今日はTANTOTEMPOには出勤せず、午後から友人の結婚式・披露宴に参加。終了後ほろ酔い気分で久々のギャラリー巡りをしてきました。

TANTOTEMPO pureに参加いただいているtaecoさんが出展しているというので、心斎橋のAcruに行ってきました。残念ながらちょっとの差でtaecoさんにはお会いできずでしたが、600x600という大きな作品は力強い作品が多く、いい写真展でした。Acruの代表の方やスタッフの皆さんとも意見交換をすることができ、一度行きたいと思っていたので、楽しく過ごしました。僕は自分のライカ用に斜めがけストラップと、お土産にネックストラップを手
に入れてきました。ここのスタッフが忙しそうにストラップなどを組み立てていく様子は、流れるようで大変美しかったです。

その後、ほんの200mほど離れたところにあるNadar大阪に行ってきました。現在の展示は8人の女性写真家による主にカラーの作品展で、それぞれの16:30という時間がメタファーとして介在するコンセプトの上で描かれています。"16:30"という時間を迎える撮影者の心理描写とそれぞれのイメージの関連性を見いだすのはなかなか難しかったですが、それはさておき、それぞれの写真家のイメージは若々しく好感が持てました。ポートフォリオがちゃんと用意されていて、椅子に座ってゆっくりと眺めてみました。中にはとてもバランスのいい、完成度の高い写真家も2、3名いて、将来が楽しみです。

TANTOTEMPOには午後7時前にようやくたどり着きましたが、萩原さんの写真展も大変好評です。この土日にもたくさんの方が訪れてくださいました。栄町通も午後早い時間は閑散としていますが、午後3時ごろになるとどこからともなく人が流れてきてまずまずの人出です。もうご覧になった方も、これからご覧になる方も、萩原義弘さんの"SNOWY"をぜひご覧ください。

IMG_7679.jpg昨日空路神戸に来てくださった萩原さんですが、今日はほぼ一日ギャラリーに在廊いただきました。

昨夜は到着とともに作品の展示などもお手伝いいただき、またその後三宮で簡単なお食事会を開催したのですが、萩原さんといろいろ意見交換をすることができ、大変有意義な時間でした。特にSNOWYというシリーズが誕生した背景や、写真界の話題など、僕たちにとっても重要なお話をお聞きすることができて楽しいひとときでした。
とにかく、萩原さんは写真に対してとても真面目に取り組まれているし、快活でユーモアにあふれていて、人を楽しい気持ちにさせてくれます。こういう写真家とおつきあいするのはとても気分が良いものです。ついでながら、ギャラリーについても、そのデザイン、運営方針などについても評価していただきました。とてもありがたいアドバイスなどもいただきました。

IMG_7697.jpgのサムネール画像
写真展の方は順調な滑り出しでした。小雨の降っているにもかかわらず、ギャラリーにはたくさんの来廊者がありました。中には北海道・稚内から駆けつけてくださった方も。炭鉱や廃鉱をかかえる町、またつながりのある方々との交流を大切にされているのがよく伝わってきました。またTANTOTEMPOをリピーターとして訪問してくださる方々も多く、神戸あるいは関西での萩原さんへの期待感がわかります。萩原さんは夕方遅く、東京に戻られました。

SNOWYは2001年から発表されている作品群ですが、これだけロングランがかなうのはシリーズが時とともに質・量ともに成長を続けているからにほかなりません。毎年廃鉱を訪れて新しいイメージを発掘する地道な努力がなされているからこそ、色あせない表現が続いていくのだと思います。2月14日のギャラリートークでは、ライフワークとしての作品作りについて、廃鉱との出会い、その歴史的背景などとからめてお話をうかがおうと思っています。

写真展では、萩原さんの写真家直筆サイン入り写真集、
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また萩原さんのSNOWYシリーズが掲載されている最新号の「風の旅人」誌、ポストカードなども取り扱っています。
何より、大変美しいオリジナルプリントをお買い上げいただくことができます。




写真集 "SNOWY" (冬青社) ¥3,675
写真集 "巨幹残栄 -忘れられた日本の廃鉱-" (窓社) ¥3,675
グラフ誌 "風の旅人" (ユーラシア旅行社) ¥1,200
ポストカード各種 ¥150

オリジナルプリント
11x14 inch作品 ¥52,500 
16x20 inch作品 ¥84,000
ともに税込、Gelatin Silver Print、直筆サイン入り、オープンエディション