Column: 2010年8月アーカイブ

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改めてアルルで出会った日本人写真家のことを書いておきたいと思います。多くはフォトフォリオレビューを受けにこられていた写真家です。50代の方から20代の若い写真家まで、様々な方が訪れていました。数えただけでも15名程度の日本人写真家を見かけ、8名ばかりの方とお話をすることができました。

写真の徳田敬太さんは2008年のコニカミノルタフォトプレミオでグランプリを取られた写真家です。写真を拝見しましたが、群像写真ともいうべき写真は、プリントもよく、構成力は非常に高いものがありました。レビューは必ずしも良いものばかりではなかったようですが、戦う姿勢は十分でした。国内で高い評価を受けている写真家が海外でどのような評価を受けるのか、日本の写真界の力量が試されているような感もあり、徳田さんの意図は別にあるとしても興味深く感じました。

本間日呂志さんは東京から参加された写真家です。
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既にプロとして活動されていますが、今回新たな可能性を求めて参加されたそうです。作品はキャンバスに銀箔を張り、その上から特殊なインクジェットでプリントする手法ですが、多くのレビュアーから高い評価を受けていました。なかには"Perfect!"と一言だけ言って自分のギャラリーの名刺を渡し「ぜひ訪ねてきて欲しい」というレビュアーもいたそうです。実際、作品はHeavyDutyの形跡が豊かで、独創性も高く、TANTOTEMPOも大変興味を持った写真家です。

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藤沢武子さんは2007年PARIS PHOTOで若い写真家に与えられる""SFR Young Talents Paris Photo Winnner"という最高賞を受賞された女性です。僕も実際その年のParis Photoで彼女の作品をみましたが、作品はマンションを見上げる公園らしき芝生の上で若い男女が昼寝をしているという作品だったかと思います。「日本的」な都市風景をコンセプトとしたことが受賞理由だったと思います。そのときは単作品での受賞だったのですが、今回持ち込んだポート
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フォリオはいわゆる日本の都市を歩いて撮影した「日本的な」光景のポートフォリオでした。オランダのレビュアーだったかと思いますが、その「日本的」なものを含んだ一連の作品について、「わからなくもないがこれらはいわゆるシークエンス」であると説明。写真家の意図は残念ながら伝わっていませんでした。他のレビュアーの評価は別にしても、ある特定のコンセプトが通用しないという例は多々あり、コンセプトが狭小または窮屈だと少し厳しいレビューとなる可能性が高いと思います。むしろ新しいヴィジョンやメディアを意識した作品全体にかかる作り方そのものに重きが置かれているような印象を受けました。彼女はウェブサイトなどを見ても実力のある写真家ですので、世界の写真の潮流から学んで再度チャレンジして欲しいと思います。

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角田和夫さんは非常に長い写真のキャリアを通じて優れた写真を撮影されている写真家です。今回2回目のチャレンジだったとのことですが、1回目は言葉の問題でうまく写真のコンセプトが伝えられなかったため、今回は通訳を現地で雇っての参加となりました。林忠彦写真賞を受賞するなど実力のある角田さんですが、今回は高い評価を受け、あるギャラリーからプリントを持参するようオファーがあったとのことです。写真集や大型のポートフォリオ、プリントなど大きな荷物を持ち込んでの苦労が報われている感じで、角田さん自身も大変喜ばれておられたと思います。

その他にも直接レビューを拝見することはありませんでしたが、
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安中るなさんとKenji Hirasawaさんもアルル会場内のブックストア近くでお目にかかりました。立ち話でしたが、どうしてアルルに来られたのかお聞きしてみたところ、やはり日本での活動が国内で評価をされないことへの不安や不満、国外でチャレンジする気持ちをもって訪れていることがわかりました。これらの写真家が国内でどのような評価をされているのか詳しいことはわかりませんが、やはりアルルでの写真の評価基準にふれることや他の優れた写真活動を肌で感じながら、自らのポジションがどこにあるのかを確かめにきていたような感があります。

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出会いの場として設定されていた写真集出版社やギャラリーが集まる会場では、日本の写真家を多く扱うパリのギャラリーSophie Boursatさんに日本の写真家が参加されていました。藤原敦さん(中央)は、自主出版誌ASPHALTを制作されている写真家のおひとりで、Chon Songteさん(左)とともに参加されておられるとのことです。ASPHALTはモノクロのどちらかと言うと抑制の利いた、コントラストの強い作品・作家を多く収録されている自主出版されている雑誌です。現在5号まで発行されているとのことでしたが、10号まで発行し活動は終了するようで「グループで制作するアート写真マガジン」というコンセプト自体も売り込んでいる訳です。こういう一見地味だけれど社会にグループとして問いかけようと言う試みには頭がさがります。ギャラリーのソフィーさんは、日本の写真家の作品を数多く集めてパリのギャラリーで活動されており、TANTOTEMPOでも写真展を開催した田中亜紀さんやフォトグラファーHALさんなどのオリジナルプリント、冬青社ほかの写真集も持ち込まれていました。

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この他、会場には学校のプログラムでアルルを訪れていた写真専門学校の学生も来られていました。青木秀平さんは22歳の学生として訪問、Rock Trailの会場で声をかけましたが、あらゆる規模や質で桁違いにおおきなアルルの写真の枠組みについて、大変面白く参考になるし日本では見られない多くの優れた作品を目の当たりにすることができて有意義な滞在だと感想を語ってくださいました。

このように、アルルには毎年多くの日本人写真家が訪れています。多くの若手は自分の実力をそもそも海外に問いかけていくか、日本の写真のシステムに乗り切れないところから国外に挑戦していることがうかがえます。本間さんのように、国内での評価軸からはじき飛ばされた写真家が海外で華々しくデビューすることについては、一概にはいえないけれども、文化リソースの海外流出とも読み取れるし、ある意味日本のシステムが逃してしまった才能となる可能性もある訳です。しかし、これらのことは様々な角度から検証した方が良さそうです。アルルや他の国外のアート写真の枠組みは、日本のそれとどう異なるのか、それぞれどのような特長があるのか。

次回、最終章ではアルルで読み取れた世界の潮流と日本の写真の未来について書いてみようと思います。

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