この時も雨が降っていて、ハービー・山口さんとギャラリー立ち上げにご尽力くださったBlitzGalleryの福川氏を出迎えに栄町通を傘をさして歩いていたのが昨日のことのように思い出されます。昨日も時折激しい雨が降る中、たくさんのハービーさんのファン、またTANTOTEMPOの活動にいろいろ参加してくださっている私たちの友人を迎えて、ハービーさんのトークショーを開催しました。3年というと長いようで短いようで、やはり長い日々でしたが、TANTOTEMPOが少しずつ成長してこられたのは良き写真家に恵まれ、たくさんの写真ファン、友人、また他の写真ギャラリーや関係者のご協力があったからだと実感します。アートや写真界隈のいい話題もそうでないと思われる事柄も、日々写真の勉強をしながら咀嚼し理解するしかない僕たちにとって、3年もよく続けてこられたな、と思いいる一方、経済的には決して楽ではない、むしろかなり綱渡り的な事情を抱えながらの日々である訳で、いろいろな思いが交錯することも確かです。しかし、写真というものはなぜか愛しくなぜか腹立たしいもので、とすると何やらギャラリーを育てていることが息子か娘を育てているかのようにも思えてきて不思議な気持ちにとらわれることもあります。もちろん、その息子あるいは娘は出来が良い訳はなく、相当な放蕩ぶりともいえるのですが、何か愛しいものである訳です。
ハービーさんのトークショーはいつも本当に驚かされます。集まってくださる方々の熱心さやリピーター率もそうですが、やはりトークのすばらしさが際立ちます。昨日のテーマは旅。今回の写真展はMy Journey, My Photographyと題したハービーさんの新しいシリーズの立ち上げでもあった訳で、ロンドンに渡ってそこからさらに旅を重ねていく若者の瑞々しくも甘酸っぱい世界観が十二分に見てとれるシリーズになっているその理由をユーモアたっぷりに話してくださいました。若者特有の「荒削り」なものは何もなく、あくまでも繊細に世界の感触や距離を手を伸ばして触れて計っているかのような、そんな作風のように感じられます。そしてそれが写真を撮る上での変わらないセンスによって美しく修飾されている、そんな写真の世界が今回の"Oil, Pride & Crisis"というコンセプトの上に描かれているのですが、トークショーではもちろん数々の撮影秘話が明かされて大変楽しいリズムのあるトークでした。日本写真協会賞作家賞を受賞されたことを会場全体が喜びを共有し、TANTOTEMPOでの写真展や兵庫県西脇市の西脇病院で開催されているARTinHOSPITAL/ART PROMENADE in 西脇病院の「ハービー・山口写真展」のことをご自身がFM放送の全国ネットで紹介されるなど、また東日本大震災の支援のためにSocio Arteや他にもたくさんの支援活動に参加されたことなど、ますます写真活動の中において写真家としての社会参加や写真のポジティブな表現について本当に多くの教唆をお示しいただいたトークショーだったと思います。いつも通り予定時間を大幅に越える2時間に渡るトークでしたが、会場の参加者の皆さまも狭くて蒸し暑い中本当に節度のある美しい姿勢でおつきあいしてくださり、主催者として本当に嬉しい気持ちでいっぱいでした。
今後の活動については、社会的にインパクトを与えうる若手の発掘を特にポジティブな表現に訴えるものの中から見いだすこと、またそれを海外へいち早く売り出すチャンネルを構築すること、国内や海外の主要な写真イベントの主催者へのインタビューをとること、海外進出を希望する写真家のとりまとめ事業、また僕自身の活動としてはARTinHOSPITALの活動をTANTOTEMPOの事業の柱に育てること、今年中に写真に関連する著作を書き上げること、などなど。直近の目標はレビューサンタフェの主催者への取材と若手写真家のポートフォリオ、写真集をアメリカやパリのギャラリーに持ち込むことなども実施予定です。
トークショー後は山田の作った手作り料理で50名あまりの参加者の皆さまとともにハービーさんの写真展のレセプション、またTANTOTEMPO3周年のお祝いを盛り上げていただきました。ひとの笑顔が途切れることなく、参加者一人一人と談笑され、即席のレビュー、撮影などたくさんの交流をされて久しぶりの神戸を楽しまれて帰られたのではないかと思います。TANTOTEMPOにとってもこの上ないすばらしいお祝いでした。参加者の皆さん、ハービー・山口さんにこの場をおかりして深く感謝申し上げます。
写真展は6月5日までです。ぜひTANTOTEMPOにお越しになってご覧ください。
