写真という特性を考えた時、例えば街のスナップから撮影された時間や場所を推定することができるように、ある種写真の事前性・事後性、真実性を問いかけ、リアルなイメージの中の主体の抽出を試みている点で徳平さんの作品はおもしろいと思います。つまり、街の断片を切り取る作業には必ずと言っていいほどその街の分解と同時に街を再構築し解釈しようとする試みが付随し、そのこと自体が街を理解するきっかけになるのではないか、というコンテクストが込められているのだと思います。CRYPTOGRAMを直訳すると「暗号化」なのであり、記号化している訳ではないのです。抽出したイメージの中にどうしてその被写体が在るのか、という素直な疑問があり、全体として理解不能なモノに「何か意味がある」つまり「暗号化」されて解釈を試みるべきものが隠されているのではないか、という写真家のまなざしを向けるのですが、おそらく写真に読み取れる実際の意図は別のところにあると考えられます。都市は現在の日本ではあらゆる点で疲弊しているように見えます。高度成長期に建てられた団地やその周辺の都市構造は、中心部の華々しい輝きと異なり、年月と人々の勝手気ままな都市構築に翻弄され、現在はもはや都市としての魅力を発揮できなくなっているように感じられます。パリやロンドン、多くのヨーロッパの都市の光景には暗号を探すよりまずその街特有に歴史的な佇まいがあり、構造があることに誰もが気づかされます。ここ日本では、まず都市が衰退し、大きな予算を使って恣意的に再構築を試み、いつの間にかそれも廃れ、別の場所に注意が向けられ・・・。そういうことが続いていくように感じられます。徳平さんは、そういった人間の勝手気ままな都市の構造に焦点を当てているように思うのです。暗くコントラストの強いイメージ、何か意味不明な街角のサイン、それらがまるで都市の崩壊に伴ってその場所にマークされていく、そんな印象を受けるのです。
皆さんはどうお感じでしょうか。
徳平尚彦さんの写真展は4月17日までです。16日午後4時からギャラリートークを開催します。参加無料ですので、ぜひTANTOTEMPOにお越し下さい。

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