ここでは特別に記事にしなかったイベントも含め簡単に振り返りながら反省点なども書いておきたいと思います。
まず、展示について、TANTOTEMPOのコレクション展に加えて大和田良さんの特別展を構成したのはとてもよかったと思います。イベントに大和田さんのトークショーを依頼した流れの中で大和田さんに依頼して実現した特別企画展ですが、期間中多くの写真愛好家が関西初の大和田作品展示を見るために訪れてくださいました。また、実際にトークショー当日に作品が販売されるなど、大和田さんのファンが関西にも育ちTANTOTEMPOにとっても成果と言える結果が残せたし、大和田さんが神戸に来てくださった労力にも応えることができたのではないかと思っています。大和田良さんのトークショーは大変盛況で、多くの表現者を目指す方々にお聴きいただきましたが、わかりやすいサンプルと構成でお話しいただきとても有意義なイベントでした。
柿島さんは本当に分刻みで動かれている写真の担い手ですが、お忙しいところをTANTOTEMPOまでお越しいただきました。写真界にある現実の問題と理想について、TANTOTEMPOの思いと全く重なるご意見がありました。写真がこのままでいいのか、もっと写真を一般にとって身近にする構造に変革できないか、いつも考えておられる気持ちの伝わるトークだったと思います。大阪のNadarとTANTOTEMPOを合わせると10月はたくさんの関西の方が柿島さんの名前を心に刻んだと思います。小さな声が重なって世界が動くことはある訳で、柿島さんや私たちの活動が少しずつリンクしながら広がっていくととても面白いと思います。
TANTOTEMPO Salonはいろいろな写真に関わりのある方々に集まっていただいて、意見交換をする会となりました。Webで作品を発表したりWebから人を集めてある種の写真活動を行っているヨシダユキヒロさんや、個人経営のギャラリーから写真を問いかけるGallery Maggotの大木一範さん、瀬戸内国際芸術祭に参加して内部からアートの仕組みを研究している長谷川新さんなどをお迎えし、甲南女子大学馬場先生の司会のもと「写真の未来」について話し合いました。写真は今後どう発展するのか、意味のある写真とは何か、現代アートと従来の写真の関係はどうなっていくのか、新しい表現にはどんなものがあるのか、など、幅広い意見がありました。一方でどうしても見通せないものがあることもわかりました。表現や作家性など、現代の表現の意味性などについては、突然現れる世代の継ぎ目の担い手の登場を待つほかなく、それは誰にもわからないのだと思います。予想はつきますが、写真はますます難解になっていくと思います。写真に参加するすべての人がそれに備えて批評に参加し、研究に着手し担い手としての知識をできるだけ豊かに蓄える努力をしている必要があると思います。
そういう意味で、関西御苗場の写真ポートフォリオレビュー、TANTOTEMPO pure展をかけたレビュー会は面白い内容となったと思います。表現者とはどういう活動を行う人をいうのか、作品とは何か、その点を特に意識した活動を行わない限り写真家として認められる活動にはいたらない、という厳しいレビューをする一方、何か一つアートへの変換装置を持っていれば優れた写真表現としてその世界を広げることができるのではないかとの考えを伝えました。僕たち写真の担い手の姿勢としても、ただそれを伝えるだけではなく、僕自身も表現者の皆さんと一緒に作家や作品とは何かを考えながら話し合えたことは大変有意義だったと思います。写真表現とは何なのか、最終出力が大事なのか、制作過程が大事なのか、ピクセルの重みが大事なのか、テーマやコンセプトが必要なのか、もはや写真を構成するあらゆるものが乱雑にあふれかえっていて、誰も守るべき写真の中心や表現に対する批評について真剣に取り上げていないようにも見えます。皆がこの点に無関心に見えるのは少し問題だと思います。また、歴史に学ぶことなく新しい表現を生み出せるのか、少なくとも僕の周辺で写真表現を一定のレベル以上に構成している人たちはものすごく写真の勉強をしているし、日本や世界の潮流に敏感です。レビューを受けられた方が少しでもこの辺りの姿勢に気づかれて新しい気持ちで活動を始められることを、そして成功されることを祈っています。
昨日は高木こずえさんのトークショーが甲南女子大学の学祭イベントとして開催され、次世代の写真の担い手とされる新しい種類の写真の表現者としてのトークを展開されました。高木さんとその写真については僕自身長い間宿題にしていたのですが、昨日のトークである程度考えがまとまったので近く公表するつもりです。
さらに、10月30日31日はTANTOTEMPOを「やまだかふぇ」とし、来廊者の皆さまにオーナーの山田が手作りクッキーやケーキを振る舞うという感謝イベントを開催しました。ハロウィーンのあまりに簡素なデコレーションに苦笑なさっていた来廊者もありましたが、台風で雨の降る中たくさんの方が来て下さいました。クッキーやケーキ、カボチャプリンも好評で、山田もうれしそうでした。31日には甲南女子大学でのトークショーを終えた高木こずえさんがTANTOTEMPOに来てくださり交流を持つことができました。
10月はコレクション展とはいうものの本当にこれまでにないたくさんの人がギャラリーを訪れてくださいました。新しい出会いやスタッフとの別れもありましたが、僕たちは足を止めて休んでいる暇はありません。11月以降もレベルの高い写真展が続きます。
どうぞこれからもよろしくお願いいたします。

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