2010年11月アーカイブ

hosaka02.jpgⓒNorihisa Hosaka

12月11日から恒例のTANTOTEMPO pure写真展を開催します。

この写真展はTANTOTEMPOのメインギャラリーをリビングルームに見立てて家具を配置し、写真を展示するグループ展で、生活空間にどのように写真がマッチするのかを確かめて写真を作品として購入していただく展覧会です。

毎年たくさんのプリントが販売され大変盛り上がるイベントです。また、12月25日(土)午後5時からは参加者と1年の写真活動を振り返るトークセッションを開催し、その後忘年クリスマスパーティーも開催します。僕もボサノヴァを披露しようと思っています。どなたさまでもご参加いただけます。ぜひお越し下さい。

クリスマスの贈り物に、友人やご家族への季節のご挨拶に、写真作品を購入されてはいかがでしょうか?ぜひTANTOTEMPOのお越しになり、pure写真展の作家たちの力作とリビングルームの雰囲気をご覧ください。

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【TANTOTEMPO pure写真展Vol.3概要】
開催期間:
2010年12月11日から12月26日
参加写真家:
保坂昇寿(東京)
笠野泰照(和歌山)
高橋あい(東京)
木村朗子(神奈川)
カマウチヒデキ(兵庫)
臼井大貴(京都)
かわさきじろう(京都)
イベント:
参加写真家によるトークセッション「写真のこれまで・これから」
2010年12月25日午後5時から
トークセッション後に忘年クリスマスパーティーを開催します。
TANTOTEMPOディレクターによるボサノヴァ演奏
その他写真集などがあたるゲームもあり。
協力:THE PENNY WISE / KOBE(家具店)


R0012116.jpg須田一政さんの写真展「血と肉」が始まりました。

初日の今日は神戸も暖かく、日中は暑さも感じるほどの陽気でした。ギャラリーにもたくさんの方が訪れてくださいました。

この写真展は日本の代表的な写真家である須田一政さんの比較的新しいシリーズから「NUDE」と「千代田の松」を選び、それぞれ作品をセレクションして展示をしています。

須田さんの写真はスナップを中心に風景やポートレイトなど多岐にわたるし、なんといっても1977年からの主立った個展の数が122とものすごいかずであることからも、非常に精力的な制作活動を行っていることがわかります。また、第16回土門拳賞や第1回東川写真賞を受賞するなど、写真の根底にある制作思想を問われる賞を受賞されていることからも、その写真の魅力はつきません。須田さんの写真は、人間の存在の奇妙さや滑稽さ、生々しい生の実感を伝えるものが多く、見ているといろいろな意味で驚かされる作品が多いと思います。人間とはこんな生き物だったかと考えさせる、恐ろしく強いイメージを切り取っていきます。

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今回のシリーズにも基本には同じ視点があると思います。女の肉体と松と、どこか奇妙に絡み合う構成となっていて、その両者をつなぐものとして「血と肉」*のキーワードを与えてみました。構造と循環(血と肉)、オンナと松、そしてそれを視覚的に媒介する気(エーテル)でつないでみたのです。

松のシリーズは、特殊なフィルムを使ったイメージも混在していて面白い造形を描いていきます。生きているものは、それがどこから来てどこに向かおうとも、発生から再生を経て老化し衰弱、死にたえるその瞬間まで、脈々と循環を繰り返していく、それを示しておられるような気がします。

須田さんは根強いファンを有し、須田塾などでたくさんの後進を育てられ、現在も大阪芸大で教鞭をとられるなど、写真の指導者としても非常に大きな役割を担っておられます。

ぜひTANTOTEMPOにお越しになり須田作品をご覧いただきたいと思います。

また、12月4日午後5時より須田一政トークショーを開催します。
参加費¥2,000、1ドリンク付き、お申し込み先着40名様
event@tantotempo.jp
までお申し込みください。


*この言葉は聖書に登場するキリストの存在そのものを示してもいます。
IMG_0304.jpg10月の盛りだくさんのイベント月間が終わりました。その間、TANTOTEMPO内部のイベントのみならず関西御苗場や高木こずえさんのトークショーなど外部のイベントにも参加したため、毎週毎週めまぐるしく回ってくるイベントに押しつぶされそうに思うこともありましたが、総じてすべてのイベントが成功だったし大変有意義だったと思います。

ここでは特別に記事にしなかったイベントも含め簡単に振り返りながら反省点なども書いておきたいと思います。


まず、展示について、TANTOTEMPOのコレクション展に加えて大和田良さんの特別展を構成したのはとてもよかったと思います。イベントに大和田さんのトークショーを依頼した流れの中で大和田さんに依頼して実現した特別企画展ですが、期間中多くの写真愛好家が関西初の大和田作品展示を見るために訪れてくださいました。また、実際にトークショー当日に作品が販売されるなど、大和田さんのファンが関西にも育ちTANTOTEMPOにとっても成果と言える結果が残せたし、大和田さんが神戸に来てくださった労力にも応えることができたのではないかと思っています。大和田良さんのトークショーは大変盛況で、多くの表現者を目指す方々にお聴きいただきましたが、わかりやすいサンプルと構成でお話しいただきとても有意義なイベントでした。


柿島さんは本当に分刻みで動かれている写真の担い手ですが、お忙しいところをTANTOTEMPOまでお越しいただきました。写真界にある現実の問題と理想について、TANTOTEMPOの思いと全く重なるご意見がありました。写真がこのままでいいのか、もっと写真を一般にとって身近にする構造に変革できないか、いつも考えておられる気持ちの伝わるトークだったと思います。大阪のNadarとTANTOTEMPOを合わせると10月はたくさんの関西の方が柿島さんの名前を心に刻んだと思います。小さな声が重なって世界が動くことはある訳で、柿島さんや私たちの活動が少しずつリンクしながら広がっていくととても面白いと思います。

TANTOTEMPO Salonはいろいろな写真に関わりのある方々に集まっていただいて、意見交換をする会となりました。Webで作品を発表したりWebから人を集めてある種の写真活動を行っているヨシダユキヒロさんや、個人経営のギャラリーから写真を問いかけるGallery Maggotの大木一範さん、瀬戸内国際芸術祭に参加して内部からアートの仕組みを研究している長谷川新さんなどをお迎えし、甲南女子大学馬場先生の司会のもと「写真の未来」について話し合いました。写真は今後どう発展するのか、意味のある写真とは何か、現代アートと従来の写真の関係はどうなっていくのか、新しい表現にはどんなものがあるのか、など、幅広い意見がありました。一方でどうしても見通せないものがあることもわかりました。表現や作家性など、現代の表現の意味性などについては、突然現れる世代の継ぎ目の担い手の登場を待つほかなく、それは誰にもわからないのだと思います。予想はつきますが、写真はますます難解になっていくと思います。写真に参加するすべての人がそれに備えて批評に参加し、研究に着手し担い手としての知識をできるだけ豊かに蓄える努力をしている必要があると思います。

そういう意味で、関西御苗場の写真ポートフォリオレビュー、TANTOTEMPO pure展をかけたレビュー会は面白い内容となったと思います。表現者とはどういう活動を行う人をいうのか、作品とは何か、その点を特に意識した活動を行わない限り写真家として認められる活動にはいたらない、という厳しいレビューをする一方、何か一つアートへの変換装置を持っていれば優れた写真表現としてその世界を広げることができるのではないかとの考えを伝えました。僕たち写真の担い手の姿勢としても、ただそれを伝えるだけではなく、僕自身も表現者の皆さんと一緒に作家や作品とは何かを考えながら話し合えたことは大変有意義だったと思います。写真表現とは何なのか、最終出力が大事なのか、制作過程が大事なのか、ピクセルの重みが大事なのか、テーマやコンセプトが必要なのか、もはや写真を構成するあらゆるものが乱雑にあふれかえっていて、誰も守るべき写真の中心や表現に対する批評について真剣に取り上げていないようにも見えます。皆がこの点に無関心に見えるのは少し問題だと思います。また、歴史に学ぶことなく新しい表現を生み出せるのか、少なくとも僕の周辺で写真表現を一定のレベル以上に構成している人たちはものすごく写真の勉強をしているし、日本や世界の潮流に敏感です。レビューを受けられた方が少しでもこの辺りの姿勢に気づかれて新しい気持ちで活動を始められることを、そして成功されることを祈っています。

昨日は高木こずえさんのトークショーが甲南女子大学の学祭イベントとして開催され、次世代の写真の担い手とされる新しい種類の写真の表現者としてのトークを展開されました。高木さんとその写真については僕自身長い間宿題にしていたのですが、昨日のトークである程度考えがまとまったので近く公表するつもりです。

さらに、10月30日31日はTANTOTEMPOを「やまだかふぇ」とし、来廊者の皆さまにオーナーの山田が手作りクッキーやケーキを振る舞うという感謝イベントを開催しました。ハロウィーンのあまりに簡素なデコレーションに苦笑なさっていた来廊者もありましたが、台風で雨の降る中たくさんの方が来て下さいました。クッキーやケーキ、カボチャプリンも好評で、山田もうれしそうでした。31日には甲南女子大学でのトークショーを終えた高木こずえさんがTANTOTEMPOに来てくださり交流を持つことができました。

10月はコレクション展とはいうものの本当にこれまでにないたくさんの人がギャラリーを訪れてくださいました。新しい出会いやスタッフとの別れもありましたが、僕たちは足を止めて休んでいる暇はありません。11月以降もレベルの高い写真展が続きます。

どうぞこれからもよろしくお願いいたします。