2010年8月アーカイブ

R0012048.jpgHEARTFUL MONOCHROME写真展が昨日始まりました。

写真展にはこの週末大変多くの方にお越しいただきました。ハービーさんの写真を見ていただいたり、若手の写真にも良い評価をいただいているようです。

写真展は、写真表現がいろいろな形に拡散する中、もっとも写真らしい形で存在し現在も根強い人気のある銀塩写真と、写真表現の中に社会と自分の関わりや社会を慈しむような視線で眺めている写真の中心ともいうべき表現に着目して構成されたグループ展です。

写真展の中心にハービー・山口さんを迎え、若手の写真家をセレクトして展示をしています。それぞれに興味深いコンセプトで構成された写真で、ハービーさんのレビューを経て展示されています。以下のサイトで詳細を伝えることにしています。展示と併せ、こちらもぜひご覧ください。ご意見ご感想などもお寄せいただきたいと思っています。

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改めてアルルで出会った日本人写真家のことを書いておきたいと思います。多くはフォトフォリオレビューを受けにこられていた写真家です。50代の方から20代の若い写真家まで、様々な方が訪れていました。数えただけでも15名程度の日本人写真家を見かけ、8名ばかりの方とお話をすることができました。

写真の徳田敬太さんは2008年のコニカミノルタフォトプレミオでグランプリを取られた写真家です。写真を拝見しましたが、群像写真ともいうべき写真は、プリントもよく、構成力は非常に高いものがありました。レビューは必ずしも良いものばかりではなかったようですが、戦う姿勢は十分でした。国内で高い評価を受けている写真家が海外でどのような評価を受けるのか、日本の写真界の力量が試されているような感もあり、徳田さんの意図は別にあるとしても興味深く感じました。

本間日呂志さんは東京から参加された写真家です。
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既にプロとして活動されていますが、今回新たな可能性を求めて参加されたそうです。作品はキャンバスに銀箔を張り、その上から特殊なインクジェットでプリントする手法ですが、多くのレビュアーから高い評価を受けていました。なかには"Perfect!"と一言だけ言って自分のギャラリーの名刺を渡し「ぜひ訪ねてきて欲しい」というレビュアーもいたそうです。実際、作品はHeavyDutyの形跡が豊かで、独創性も高く、TANTOTEMPOも大変興味を持った写真家です。

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藤沢武子さんは2007年PARIS PHOTOで若い写真家に与えられる""SFR Young Talents Paris Photo Winnner"という最高賞を受賞された女性です。僕も実際その年のParis Photoで彼女の作品をみましたが、作品はマンションを見上げる公園らしき芝生の上で若い男女が昼寝をしているという作品だったかと思います。「日本的」な都市風景をコンセプトとしたことが受賞理由だったと思います。そのときは単作品での受賞だったのですが、今回持ち込んだポート
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フォリオはいわゆる日本の都市を歩いて撮影した「日本的な」光景のポートフォリオでした。オランダのレビュアーだったかと思いますが、その「日本的」なものを含んだ一連の作品について、「わからなくもないがこれらはいわゆるシークエンス」であると説明。写真家の意図は残念ながら伝わっていませんでした。他のレビュアーの評価は別にしても、ある特定のコンセプトが通用しないという例は多々あり、コンセプトが狭小または窮屈だと少し厳しいレビューとなる可能性が高いと思います。むしろ新しいヴィジョンやメディアを意識した作品全体にかかる作り方そのものに重きが置かれているような印象を受けました。彼女はウェブサイトなどを見ても実力のある写真家ですので、世界の写真の潮流から学んで再度チャレンジして欲しいと思います。

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角田和夫さんは非常に長い写真のキャリアを通じて優れた写真を撮影されている写真家です。今回2回目のチャレンジだったとのことですが、1回目は言葉の問題でうまく写真のコンセプトが伝えられなかったため、今回は通訳を現地で雇っての参加となりました。林忠彦写真賞を受賞するなど実力のある角田さんですが、今回は高い評価を受け、あるギャラリーからプリントを持参するようオファーがあったとのことです。写真集や大型のポートフォリオ、プリントなど大きな荷物を持ち込んでの苦労が報われている感じで、角田さん自身も大変喜ばれておられたと思います。

その他にも直接レビューを拝見することはありませんでしたが、
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安中るなさんとKenji Hirasawaさんもアルル会場内のブックストア近くでお目にかかりました。立ち話でしたが、どうしてアルルに来られたのかお聞きしてみたところ、やはり日本での活動が国内で評価をされないことへの不安や不満、国外でチャレンジする気持ちをもって訪れていることがわかりました。これらの写真家が国内でどのような評価をされているのか詳しいことはわかりませんが、やはりアルルでの写真の評価基準にふれることや他の優れた写真活動を肌で感じながら、自らのポジションがどこにあるのかを確かめにきていたような感があります。

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出会いの場として設定されていた写真集出版社やギャラリーが集まる会場では、日本の写真家を多く扱うパリのギャラリーSophie Boursatさんに日本の写真家が参加されていました。藤原敦さん(中央)は、自主出版誌ASPHALTを制作されている写真家のおひとりで、Chon Songteさん(左)とともに参加されておられるとのことです。ASPHALTはモノクロのどちらかと言うと抑制の利いた、コントラストの強い作品・作家を多く収録されている自主出版されている雑誌です。現在5号まで発行されているとのことでしたが、10号まで発行し活動は終了するようで「グループで制作するアート写真マガジン」というコンセプト自体も売り込んでいる訳です。こういう一見地味だけれど社会にグループとして問いかけようと言う試みには頭がさがります。ギャラリーのソフィーさんは、日本の写真家の作品を数多く集めてパリのギャラリーで活動されており、TANTOTEMPOでも写真展を開催した田中亜紀さんやフォトグラファーHALさんなどのオリジナルプリント、冬青社ほかの写真集も持ち込まれていました。

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この他、会場には学校のプログラムでアルルを訪れていた写真専門学校の学生も来られていました。青木秀平さんは22歳の学生として訪問、Rock Trailの会場で声をかけましたが、あらゆる規模や質で桁違いにおおきなアルルの写真の枠組みについて、大変面白く参考になるし日本では見られない多くの優れた作品を目の当たりにすることができて有意義な滞在だと感想を語ってくださいました。

このように、アルルには毎年多くの日本人写真家が訪れています。多くの若手は自分の実力をそもそも海外に問いかけていくか、日本の写真のシステムに乗り切れないところから国外に挑戦していることがうかがえます。本間さんのように、国内での評価軸からはじき飛ばされた写真家が海外で華々しくデビューすることについては、一概にはいえないけれども、文化リソースの海外流出とも読み取れるし、ある意味日本のシステムが逃してしまった才能となる可能性もある訳です。しかし、これらのことは様々な角度から検証した方が良さそうです。アルルや他の国外のアート写真の枠組みは、日本のそれとどう異なるのか、それぞれどのような特長があるのか。

次回、最終章ではアルルで読み取れた世界の潮流と日本の写真の未来について書いてみようと思います。
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毎年12月、家具店とのコラボにてTANTOTEMPOのメインギャラリーにリビングルームを設置、写真を飾るイメージを呈示して写真を販売する好評のイベント、TANTOTEMPO pure写真展。毎年30枚以上の写真作品を売り上げるこの写真展に3名の参加写真家を募集します。

10月23日24日の両日、TANTOTEMPOディレクターが写真をレビューします。お持ちいただくのは写真家としてのステートメントとポートフォリオあるいは作品。募集要項に従ってご応募をお願いいたします。

なお、作品は写真、写真を用いたインスタレーション、コラージュなど形式を問いません。ただし、紙媒体(プリント)でない場合、また作風も展示販売に向くか否かがレビューの結果に反映されることがあります。

奮ってご参加ください。

【TANTOTEMPO pure写真展】
2010年12月11日(土)- 12月26日(日)
作品搬入:12月9日10日

【募集期間】
申し込み期限:8月21日-10月21日(ただし募集最大数に達した場合はお断りすることがあります)

【募集数/出展候補数/最終選考数】
募集数:各日10名まで
出展候補数:作品による
最終選考数:3名(該当者がいない場合は0−2名)

【制限事項】
原則として年齢45歳以下であること。(45歳を超える場合はお問い合わせください)
作風に制限はありませんが、作品、ポートフォリオの質が整っている必要があります。また、アート性の高い作品を募集しています、単なる風景写真は不可。人物の特定できる子供、ポートレイト、ヌードなど、わいせつな表現などは不可。
12月の写真展に確実に参加可能なこと。
12月9日10日に搬入に来られること。
作品を販売できる形態に整えられること。(額装・パネル制作その他)
12月25日のイベントに参加できることが望ましい。(忘年会、ライブ、パーティー、トークショーなど行います)

【申し込み方法】
info@tantotempo.jpにメール
078-393-0810に電話
直接来廊
にて、以下の内容をお知らせください。

氏名、年齢、希望するレビュー日時の候補を3つ
簡単な経歴、作品の概要を確認できるHPなどがあればURLアドレス

【レビュー当日に必要なもの】
1.写真家としてのステートメント
写真家として活動する上で信条とすること、また活動の方向性やテーマ、コンセプト。どのような写真家としてのヴィジョンがあるかを1000−2000字にまとめて提出のこと
2.ポートフォリオ
基本的にプリントをテーマまたはコンセプトとしてまとめてファイル、ポートフォリオ、ブック形式に収容し持参すること。インスタレーション作品は、メディアあるいはPCを持参のこと。
3.CV(プロフィール)
写真家として受けた教育、写真展、出版などの経歴をまとめてプリントしたものを持参のこと
4.出展候補となった場合に備えて(注意!お持ちいただけない場合はポートフォリオをお預かりすることがあります)
写真作品のデータ数点

【レビュアー】
TANTOTEMPO 杉山武毅

【レビュー日時】
2010年10月23日(土)24日(日)午前11時30分から午後6時30分までを30分間隔に区切り、先着申込制(ご希望の時間に対応できないことがあります)

【レビュー内容】
各レビューは20分。ステートメントを確認し、作品についてレビューを行います。TANTOTEMPO pure写真展出展候補となるか否かは当日お伝えします。

【最終結果発表】
11月7日TANTOTEMPOホームページ、ブログにて発表します。

【参加費】
¥2,000(お申し込み時にお支払い。10月22日以降のキャンセルは返金不可)

【お問い合わせ】
info@tantotempo.jpまでメールにてお問い合わせください。
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【写真は中国の現代アート系写真を紹介する大規模なイベントのポスター】

TANTOTEMPOでは10月の1ヶ月をワークショップ月間と題し、様々なイベントで写真家あるいは写真を愛する方をお迎えすることにしています。

コレクション展に加え、写真家・大和田良さんの作品も展示するほか、トークショーやパーティーなどで盛り上げたいと思います。

10月2日(土)はそのオープニングとなりますが、久しぶりにTANTOTEMPO Salonを開催、今回は初めてオープン開催とし皆さまに解放したいと思います。SalonではTANTOTEMPOのカフェやギャラリー空間でざっくばらんに文化芸術談義を繰り広げます。今回は7月にアルルを訪れた関係からアルルで体験したフランスにおける様々な思想を取り上げ、スライドショーを楽しんでいただきながら海外と日本の写真文化との比較、また日本の写真活動がどのようにすればより身近なものになりたこ壷から抜け出せるようになるのか、というテーマで皆さんと話し合いたいと思います。ゲストコメンテーターはおなじみの甲南女子大学馬場伸彦先生です。
なお、このイベントでコメンテーターをつとめたいという方がおられましたらぜひお知らせください。こちらもまだまだいろいろな方にお越しいただけるよう交渉中です。

Salonでは、特に参加費は設定していません。しかし、慣例にしたがって一品持ち寄りのイベントとしたいと思います。何かつまめるもの、何か飲めるものを一品お持ちください。

10月2日(土)午後5時半頃開始、午後9時半頃まで
お申し込みは特に必要ありません。

TANTOTEMPO Salonとは
TANTOTEMPOはオープン当初、ギャラリーを応援してくださる来廊者の方やギャラリー関係者を招いてギャラリー運営のノウハウなどの情報交換、写真文化についての話し合いを持っていました。一品持ち寄りで集まっていただきSalonを開催、多くの方から貴重なご意見や情報を得てTANTOTEMPOの船出を助けていただいていたのです。Salonから得られた情報をもとに、いろいろな日本の写真文化活動を見る機会に恵まれ、写真文化についての考えを持つようになった経緯があります。Salonからさまざまな情報発信ができるよう、今後もOpen、Closedに関わらずSalonを開催して参ります。
photta-lotという写真レーベルを独自に立ち上げ、東京を中心に活動している柿島貴志氏。柿島氏は写真文化、とりわけ写真を生活の中に取り入れる暮らしを積極的に提案するなど、写真アートの担い手としてどのような写真の局面にも細やかな心配りをしながら活動をつづけ写真文化の普及に努めています。その活動はまさにTANTOTEMPOの目指している方向を先読みされており、よきお手本として大変心強く、活動に注目しています。

柿島氏はまた、写真研究者の小林美香さんとともにマレビトスクールというワークショップを開催し、「モテる写真」について若手のアーティストや写真をアートとして楽しんでいる方を対象に写真の楽しさ、奥深さを伝える活動を行っています。

「モテる写真」とは何なのか。人を惹き付ける写真とはどういう写真か、実際にその言葉に込められた柿島さんの思いなどを、TANTOTEMPOにてお話しいただくことになりました。マレビトスクールin関西。今回のイベントでは、以下のような内容でお話しいただくことになっています。

ワークショップの概要
写真家として活動していくためには「自分の写真がモテる」必要があります。
ギャラリストにモテることで個展が開催でき、お客さまにモテることで作品が売れるのです。
現在運営しているアートフォトレーベルはもちろん、過去に携わった写真・インテリアアート業界での経験をふまえ、効果的なプレゼンテーションの方法、作品の魅力を伝える額装の考え方、作品販売を行う上での作法など具体的なノウハウをお伝えします。
また、現在関東で活発化している「写真をモテるようにするため」の新しい動きを、マレビトスクールの活動を中心にご報告いたします。(柿島氏)

10月ワークショップ月間、目玉イベント第2弾。写真でモテたい写真家、モテる写真を撮る写真家と知り合いたい人、柿島さんの考え方に賛同する方や議論をしたい方。柿島さんに作品を売り込みたい方!

ぜひTANTOTEMPOの柿島さんのトークショーにお越し下さい。

マレビトスクールin 関西「モテる写真とは?」
講師:柿島貴志さん
2010年10月9日(土)午後5時開演
参加お申し込み先着25名様
参加料2,000円(1ドリンク)
お申し込みは
event@tantotempo.jp
あるいは
078−393−0810
または直接来廊にてお願いいたします。

関連サイト
ohwada01.jpgⓒRyo Ohwada

TANTOTEMPOの10月のワークショップ月間では、コアイベントとして国内外で高い評価を受けている写真家・大和田良さんをお迎えしてのレクチャーを開催します。また、これに合わせてTANTOTEMPOのメインギャラリーにて大和田作品の紹介もする予定です。

テーマは「写真と言葉」。

写真を撮るとき、写真を出力し作品として構成するとき、写真展や写真集を作り上げる際密接に関係してくる写真家の考え方。これらは視覚から言語に変換されて、あるいは言語から写真家の態度や作風につなげられて、写真の力量に影響していくことになります。大和田さんはこれらを「作家としてのステートメント」「作品のステートメント」と呼び、写真作品の制作の上で極めて大切であるとしています。

TANTOTEMPOでは近頃著作「ノーツオンフォトグラフィー」を出版された大和田さんに着目し、「写真と言葉」というテーマにてトークショーを開催します。非常に聡明な人柄と、大胆な写真のアイデアがどのような言葉によって作り上げられているのかを知る関西ではまたとない機会です。ぜひTANTOTEMPOにて大和田さんと写真の言葉について議論してみてください。

お楽しみに。

大和田 良トークショー
2010年10月16日(土)午後5時
お申し込み先着25名様
参加費¥2,000(1ドリンク付き)
参考図書、写真集の販売、サイン会も行います。(限定数)
お申し込みは
event@tantotempo.jp
あるいは
078−393−0810
または直接来廊にてお願いいたします。
herbie_0005.jpgⓒHERBIE YAMAGUCHI

ハービー・山口さんをメインの写真家、レビュアとして迎えた、写真と社会の関係性を問いかける写真グループ展、HEARTFUL MONOCHOME写真展がいよいよ今月28日から開催されます。

8月7日には若手写真家も交えてのハービーさんのレビュー会が東京で行われ、その様子はビデオ収録され、現在編集作業中です。

それぞれの写真家は写真活動歴のあまり深くない若手の写真家ですが、それぞれ身近な素材や少しひねったテーマ、笑顔の写真などを掲げながらレビューに臨んでいただきました。

最初に断っておきますが、この写真展の枠組みは写真の優劣をつけたり技術を競う写真展ではありません。写真の本来の力としての記録性や技術に加えて、テーマやコンセプトなど写真のメッセージや作家性をどのように伝えていくかを問いかける写真展として今後発展させていこうと考えています。

従って、写真展では、ハービーさんやギャラリーがそれぞれの写真家に対して評をつけることで、写真家やギャラリーがどのような観点から社会性や写真家のメッセージを読み取っているかを公表しようと考えているのです。写真を読み解く。これが写真において的確に行われていないと優れた写真活動、価値創造につながる写真の育成は困難です。また、社会の中の自分、社会から学ぶこと、社会へ還元できることを考える写真が評価されない世界であってはなりません。

写真展には、ハービーさん以外にまだ発展途上の4名の写真家が登場します。それぞれが考える社会と写真との関わりとは何か、写真活動の意味や目標は何なのか、そういったことを主題に9月25日にはトークショーを開催します。このトークショーにハービーさんが来られるかどうか現時点では決まっていませんが、鋭意交渉中です。トークショーではレビューの様子が放映され、その後で写真に関する現在の潮流の中で写真の中心としての社会的なメッセージをいかにして写真に載せていくべきなのか、を皆さんと一緒に話し合いたいと思っています。

どうぞお楽しみに。

HEARTFUL MONOCHROME写真展
ハービー・山口、なかがわれいこ、山本倫子、淡路勝、宮原亜可子
8月28日(土)から9月26日まで。
トークショー9月25日(土)午後4時から。
お申し込み先着25名。


R0012013.jpgCarlos Judaro写真展がいよいよ最終週になりました。今週末で写真展が終了します。

Carlos本人はすでに本国に帰国していますが、暑い中ギャラリーを訪れてくださる人がしばし涼しげなイメージに脚をとめて見入ってくださる姿が印象的です。実際、カルロスのイメージは北海道、旭岳の雪の景色や海辺の風景が多いため、ギャラリーに立つと涼しく感じます。栄町通も例年になく暑いため、午後早い時間は人通りが少なく感じられる今年の夏ですが、午後遅めになるとわき出すように人でにぎわいます。

カルロスの写真集も残すところあと3部となっています。CDジャケットより少し大きいサイズの小さな写真集は、¥2,000にて販売中です。ぜひこの機会にお買い求めください。

Carlos Jurado写真展、ぜひTANTOTEMPOに足をお運びください。
TANTOTEMPOの10月は、写真作品の制作に携わる写真家のためにワークショップを開催します。これはコレクション展と併せて行うもので、作品のステップアップを目指す写真家や、海外での活動を目指す写真家、国内外のコンクールなどで説得力のある作品を制作する上で欠かせないステートメントの書き方など、4つのワークショップとひとつのイベントを開催します。

  1. ギャラリーディレクターのレクチャー「アルルの経験から」
  2. 東京で人気のワークショップの関西版「人を惹き付ける写真とは(仮題)」
  3. 国内外の第一線で活躍中の若手写真家のレクチャー「効果的なステートメントの書き方(仮題)」
  4. 12月のTANTOTEMPO Pure写真展へ向けたポートフォリオレビュー
  5. イベント「TANTOTEMPO写真祭」ギャラリーオーナーの手作りケーキやクッキーをほおばりながら写真を眺める、読む、買う(最終週の土日)

詳細は現在詰めておりますので、決定次第お知らせいたします。
お楽しみに。
R0015116.jpg7月30日、北野・ヴァンヴィーノにてアルル訪問の報告会を開催しました。

当日、多くの方に参加いただきましたが、おいしいイタリア料理とワインを楽しみながらの会となりました。ご参加いただきました方々、ありがとうございました。

まず甲南女子大学、馬場伸彦先生が旅の間に撮影した写真を紹介してくださいました。アルルに行った3人の中で唯一デジタル一眼レフをもってこられ精力的に旅の写真を撮影しておられたのですが、人物や風景などを150枚程度にまとめて音楽付きでスライドショーしていただきました。その後で「アルル写真の出会い」というイベントを、特に招待国である「Argentina Trail」、ロックの時代の写真「The Rock Trail」、そして「The Film Photography Trail」という3つの方向性について、解説していただきました。特にフィルム写真が衰退する中、もはや写真はカラーの時代である、と説明され、凝った演出を駆使して表現されるアルゼンチンの写真家の作品を取り上げたり、スターをモチーフにした80年代のロックシーンから数多くの優れた写真が生み出されていった背景などが紹介されました。

続いて、馬場先生と僕とで一般の参加者にもわかるように写真の歴史やアルルという町に少し触れ、アルル写真フェスティバルの一連の写真の枠組みを、"Heavy Duty & Razor Sharp"というメインコンセプトと6つの"Trail"という方向性で読み解いてみました。

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"Heavy Duty"というのは、頑強とか真剣と読み取ることもできますが、僕は多くの手数をかけて作り上げた、努力の上に積み重なった作品だと読み取りました。実際、展示された作品には気楽に作られたと思えるようなものはいっさいなく、その制作過程が大変だっただろうと思えるものばかりでした。また"Razor Sharp"とは、カミソリのように切れ味のある、ということですから、エッジの効いたとんがった作品と読めると思います。つまり、これからの写真の潮流は、やはりかなり趣向を凝らして練りに練られた誰も見たこともないような写真になっていくことは間違いありません。それは"Change Over Trail"というコンセプトで紹介されていた中堅以上の写真家と若手写真家の作品の対比でも見事に示されていました。若手写真家をセレクトしているTrailでは、もはや従来の写真の体をなしていない作品が大変多かったと思います。インスタレーション、角度によって見える画像が違って見える懐かしいが新たな写真、不定形にカッティングされた写真、壊された写真、映像などなど。従来の写真をイメージして見てみるととても理解できない構造のものが普通の「写真的な構造」と並列して並べられているさまは、かなりショッキングな風景です。オモチャのようにもふざけているだけのようにも、からくり優先でストーリーがないかのような作品もあり、混乱するのです。

アルルのディレクターである、フランソワ・エベルさんのインタビューでもその点を確認することができました。
「世界の写真の潮流はどこに向かっているのですか?」という問いかけに、エベル氏は質問の意図を読み取って
「『写真は死んだ』と毎年多くの意見が寄せられてくるけど、実際写真は今混乱しながらも新しい出口を見つけようとしているんだと思う。新しい表現は必ず出てくるし、それがいわゆる写真的なものではなくても、写真という素材を丁寧に使って構成するものであれば写真として扱うしかないと考えているんだ。」
僕は
「そうすると、人々は、一般の人は混乱しますよね。」
「そうだね、だから我々はここアルルでそれぞれが一連の進化によってつなげられているものであることを示す必要があるんだよ。」エベル氏は次のように続けました。
「'87年にアルルで取り上げた"Rock Trail"なども写真の従来の概念をことごとく壊すことになったきっかけでもある。Rockというメディアによってそれ以前の写真が変革するよう求められたんだ。」

"Rock Trail"が1987年に開催された時、パンクロックをはじめとするバンドの撮影をしていた写真家は、ロバート・メイプルソープやパティ・スミス、アニー・リーヴォヴィッツなど、「撮っていけないものなんて何もない」ことに気づいていたと思われます。ロックシーンを撮影した写真は、音楽雑誌やメディアにより世界中に配信され、多くの若者の賛同を得ることに成功する訳です。それは普遍性や美のみを価値としていた従来の写真界を真っ向から否定し、センセーショナルでむき出しの生や社会の表や裏の世界、スターの生き様や個人の性生活ですらテーマになり得ることを示した訳です。

報告会では、その他にもアルルで出会った写真家のポートフォリオレビューのレポート、アルルで日本の写真活動が全くと言っていいほど取り上げられなかった現状について議論しました。日本人の中にもポートフォリオレビューからフランスやポーランドで個展が決まるといった高い評価を受けた写真家がおられた反面、写真の潮流を読み取れないばかりに苦戦を強いられる写真家も多くおられたと思います。日本の写真全体について、エベル氏自身がやはりその沈降を認めていました。エベル氏は中国や韓国、タイやベトナムの写真活動が盛り上がっている結果、相対的に日本の存在感が薄れているのではないか、との考えを述べていました。エベル氏は中国の写真イベントのディレクターを担うなど、ヨーロッパにアジアの中でも中国重視の考え方があることを示唆していました。パリフォトでも10年以上参加していた日本のギャラリーがポジションを失うなど、少し心配なところです。

世界の写真界全体で見ると、コンテンポラリーアートの領域からも従来の"写真的な写真"は消えつつあると言います。「写真は死んでいない」と強調するエベル氏の脳裏には、写真的なものを"Film Photography Trail"でざわざわ保護的に扱わざるを得ない苦悩も見て取れ、5年前から会期を学校の新学期に合わせて延長させることで教育プログラムにも意欲を見せるなど、新たな写真の潮流の浸透に非常に神経を使っていることがうかがえました。アルル自体も一昨年からコミッティーのプレジデントが代わり、全体の構成や予算構成なども大幅に刷新されていると聞きます。ヨーロッパにおいて写真の存在感が低下することへの懸念は、日本でそう言われていることの懸念とは比べ物にならないと思われ、新しい技術、新しいメディア、新しい表現を巡るあらゆる可能性について、写真としてくくって擁護していこうという考えが明白です。

日本についていえば、やはり世界の中で取り残されないかという懸念がある訳で、その点についても報告会で取り上げました。個々の写真活動がそれなりに評価されていく日本的なシステムは決して悪い訳ではないけれど、いわゆるたこ壷化は顕著で、マーケットがごく一部の写真活動に限られている以上、全体として世界的なのアートのシステムに乗りにくいことは明らかです。日本の写真がカメラで表現することを愛する非常に多くの人々に支えられていることは明らかですが、カメラ資本やプリンタメーカのコンテストなどが唯一のチャンスであり、ステップアップの経過から組織的に引き上げていくようなアルルのような枠組みはまだ機能しているとは言えないと思います。日本で写真イベントが今後国際的に開かれた優れた写真の枠組みに育つためには、学校教育に入り込んだり、日本各地の幅広い層の写真活動を網をかけて有機的に評価して見ている必要があり、レビューによる写真家の評価基準やレビュアーの適格性、ビジネスとのリンクを考えた出会いの場の提供、世界の潮流と日本の考えや方向性を示す文化学術的なセミナーやワークショップ開催などが必須です。加えて、一般市民をはじめ写真家やギャラリー、出版、学術や企業、写真イベントそのものがゆるやかにリンクする写真文化を巡る新たな思想が必要なのではないかと思います。

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日本人のレビューについて、日本人の写真家がポートフォリオレビューで持ち込んでいた写真で僕自身が驚いた写真はやはり高い評価を受けていました。僕のようなまだ写真活動を始めて3年あまりの人にも説得力のある写真、面白い写真は、誰が見ても面白い訳です。本間さん(写真右下)は東京の写真家ですが、銀箔を貼付けたキャンバスに写真を特殊なインクを用いてプリントする手法で非常に高く評価されていました。新しい紙を開発したかのような驚きがある訳で、彼にしかできないシステムを構築して高い評価を受けていました。"perfect!"と評されていたといいます。このように誰が見ても驚くような写真、評価されていることを納得できる写真を撮ること、あるいは写真を使って新しいメディアを作ってしまうこと。これが国際的な潮流に立ち向かう唯一の方法であると言えると思います。

最後に、"center of photography "と僕が問いかけた写真的な写真について、エベル氏は相対的に地位が沈んでも歴史的には担保されていくだろう。そういう写真を撮り続ける人はずっといると思う、と語っていました。写真は拡散して価値創造を求める新しい表現と、従来の古典的手法とに分断されて存続していくのだろう、というのがエベル氏の考えだと思います。

TANTOTEMPOとしても今回のアルルの旅はギャラリーの方向性を決める上で非常に重要なものとなりました。個々の写真家の表現を見ていくこと、いろいろな表現を社会に見せることは大変重要ですが、それよりも写真の社会学、写真の構造について学ぶことが日本では急務ですし、今後求められていくと思います。文化予算などもどんどん削られていく中、日本の存在感が文化において世界の文化の中に決して沈まないように再構成する力は、すべての文化の担い手や愛好者が一致団結してつけるほかはないと確信的に思いました。

なお、アルル報告会はもう一度ギャラリーにて開催予定です。現在日程などを調整中です。多くの方が参加していただけるように考えています。また、こちらはUst配信なども検討していきます。

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