まず井本礼子さんとギャラリーとの出会いについてギャラリーから紹介させていただきました。井本礼子さんと初めてお会いしたのは、2008年のパリフォトの会場です。写真出版社の冬青社のブースに高橋社長を訪れたとき、紹介していただいたのが縁です。神戸出身ということ、写真表現がある美学に貫かれていることなど、高い写真活動を拝見していずれはTANTOTEMPOで写真展を企画しようと考えていました。2周年企画との連動はこういった流れで決まったもので、その経緯についてお話しいたしました。
続いて井本さんが現在の写真活動に至るまで、日本国内やベトナムの慈善活動に際して撮影した写真や、日本を離れてロンドン、アメリカで写真を学び本格的な写真活動に入る前にコンパクトカメラで撮影した写真などが紹介されました。実はこの中に非常に印象的で強いスナップやポートレイトがありました。写真としての質も大変高く、この頃から既に写真についての知識や美学が習得されていたという事実にまず驚かされました。日本を離れた理由も含め、ロンドンの街頭でデッサンを続けていた時代があったなど、面白い逸話も紹介されています。また、ロンドンでの写真活動にある種の限界を見て取った井本さんはアメリカにて写真をさらに追求し、現在居住しているベルギーに渡ります。このベルギーにわたって直後にポーランドで個展の誘いがあり、現在TANTOTEMPOで開催しているDREAMSCAPEのシリーズの原型が出来上がるのです。
その後に上映されたビデオムービーは大変示唆に富むものでした。製作中の作品シリーズを含め、現在展開しているすべてのシリーズについて、友人の音楽家たちが演奏した楽曲にのって紹介されていきました。基本的な作品作りの丁寧さとモチーフの使い方の妙は井本さんの真骨頂ですが、それらが映像と音楽という写真にとどまらないメディアに出力されたものとして表現されており、興味深い作品でした。
上映後、会場からの質問にお答えいただきました。日本の写真(写真家)とベルギーの写真(写真家)とのちがい、多くの写真がある中からあるシリーズを構成する時に困難を感じないか、など、質問がありました。それに対し、日本の美術教育に触れ日本のアーティストの特徴である恥ずかしがり屋、厳しい意見を言わない、求めないなどの性質の違いがあるのではないかとの意見がありました。また、写真のセレクションの作業は楽しい、と応えておられました。写真の文化的位置づけ、アートマーケットについても話していただきました。
井本さんは、最近は若手の写真家の写真活動を応援する活動として写真ポートフォリオレビューなどを行うなどしています。優れた才能があればベルギーで展示する機会を設定するなど、すでに何人かのセレクションが終わっているようです。
井本さんの写真展は清々しい季節と重なって驚くほどの集客を見せています。
井本礼子写真展は6月13日(日)まで。ぜひ、ご覧ください。
なお、この写真展の様子はiPhone/Ustream版は
http://www.ustream.tv/channel/tantotempo
でご覧いただけます。
HD版は
http://vimeo.com/user3506792/videos
で配信される予定です(日時未定)。

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