2010年3月アーカイブ

R0010822.jpgnomoto piropiro展が始まりました。初日の今日からたくさんの来廊者でにぎわっています。

今日は神戸も快晴だったこともあり、栄町通は多くの人でにぎわっています。今は少し陰っていますが、国道も大混雑のようです。昨夜はかなり冷え込みましたが、そのせいで最近の暖かさに薄着になった人たちが少し寒そうに歩いています。

nomoto piropiroさんは、昨夜作品の設置のためにTANTOTEMPOに来ていただきました。僕が駆けつけた時にはもう既に設置はおおかた終わっていました。ブルーグレイのクールな写真がアクリル・アルポリックでフォーマットされていて、完成度の高いかっこいい写真だと思います。特にA1作品はとても迫力があり、白壁のある黒を基調とする家具のモダンリビングに特にマッチします。

今回の写真展は、大阪帝塚山画廊の南堀江移転後の初企画である"into the silent land / osaka"との連動ですが、大阪は迫力の大作品が中心です。神戸は逆にA2作品を中心に、A3作品もあり、大変お求めやすい構成になっています。人物が写っている写真が過半を占めますが、これらの作品が特にカッコいいので、TANTOTEMPOにお越しになりぜひご覧いただきたいと思います。

帝塚山画廊の展示が始まる4月9日からは双方のギャラリーの展示風景を相互に中継します。双方のギャラリーの来廊者同士がコミュニケーションできるようにする予定です。

お楽しみに。
TANTOTEMPOでは、これまで開催してきた写真展の展示作品を中心に、ギャラリー内で写真作品の展示販売を行います。
今回は額装・マットについて新品のものを20−30%ディスカウントするほか、展示額も30−50%ディスカウントにて提供いたします。

この機会にぜひTANTOTEMPOにて写真作品をお買い求めください。
[日時]
2010年4月22日(木)から5月4日(火・祝)
(4月29日は祝日で休業しますが、5月3日4日は営業いたします)
[作家リスト]
Patrick Taberna
Type-C print ¥130,000-

Meg Birnbaum
Gelatin Silver Print ¥59,400-

Herbie Yamaguchi
Gelatin Silver Print ¥Ask

萩原義弘
Gelatin Silver Print ¥Ask

Michael Dweck
Gelatin Silver Print ¥Ask

Pamela Hanson
Gelatin Silver Print ¥Ask

004.jpgnomoto piropiroさんの写真展がいよいよ今週末始まります。

現在搬入と展示準備を進めていますが、すばらしい作品です。イメージは強く、写真には独特の世界観があります。写真はすべてデジタルですが、電気的に信号を変調する仕掛けを有するデジタルカメラにて撮影しているそうで、可視光を超えた波長の光までプリントに反映しているようにさえ見えます。

プリントも高品位のデジタルプリントで、これをアクリルとアルミ複合板にてサンドイッチ処理をしており、プロダクトとしても極めて高品位です。

なにより、写真を見ているとあらゆる音が消え、動きが止まるかのような錯覚に陥るため、異質な空間に導かれていくような感覚に襲われます。モダンな作品ですがどことなくせつなくなるような人々の営みをとらえていて、piropiroさんの視野の広さに感心したりもします。

nomoto piropiroさんはTANTOTEMPOにも何日か在廊される予定です。また4月9日からは大阪南堀江に移転した帝塚山画廊の移転後初展覧会として「into the silent land / osaka」が開催されます。二つのギャラリーを結んでの展覧会の仕掛けも考えていますので、ぜひこちらの方にも行ってみてください。在廊日などはまたお知らせいたしますので、TANTOTEMPO Daysブログにご注目ください。

「into the silent land / kobe」写真展は27日(土)から。
アーティストトークは4月17日午後6時。参加無料です。先着30名さま。こちらは混み合うことが予想されます。ご予約はお早めに。

デジタル作品/デジタルプリント/アクリル・アルポリック処理ずみ

R0013573.jpg約6週間にわたって開催してきたMeg Birnbaum写真展が今日終了しました。その間、本当に多くの一般のかた、写真愛好家の来廊に恵まれた写真展でした。写真展にはMegさん本人も登場し、初めての日本、初めての神戸でしたが大変すばらしい訪問だったと感激して帰国されました。

そもそもMegさんの写真展を企画するきっかけになったのは、世界中から集まってくる写真家のうち、優れた世界観をもつ写真家に展示の機会を与えているウェブサイトの存在があります。残念ながら日本人の紹介は皆無ですが、ちゃんと作品と向き合う作家ならチャンスはあるだろうと予想されます。TANTOTEMPOは常に外部から実力作品を探す努力をしているし、写真家がレビューを求めてギャラリーを訪れた場合、一定の条件でかならず写真家と会い作品に目を通しています。とにかく、海外の作品を多く展示する今年のTANTOTEMPOの活動にあわせ、約1年前から連絡をとりあい、写真展を開催した訳です。

Megさんの写真のいいところは、写真歴が長いにも関わらずマーケットに出てきた歴史が比較的浅いことだと思います。基礎的な写真教育ができるほど優れた知識を貯えながら、実際にはグラフィックデザイナーとして写真から常に一定の距離を保ち、あまり深入りしなかったことも結果的に良かったのかもしれません。結局デザイナーの仕事はリストラに遭い失いましたが、それがきっかけで本格的な写真活動を開始したのです。今から9年前のことです。それ以降いろいろなグループ展、個展を経験し、最近は作品が企業や美術館のコレクションになるまでに至っているし、昨年秋の中国のアートフェア参加、日本での企画展、そして今年後半にロシアからオファーを受けている状態で、かなりアクティビティーを高めていると思います。作品はとても落ち着いていて、とりたてて新しいアイデアで撮影されたものではありません。それにも関わらず高い評価がなされていることが、日本から見ると不思議な気もします。しかし、実力やスタイルに応じてアートの立ち位置を勝ち取れるアメリカの写真システムからすると、ごく自然なことかもしれません。アート色の強い新しい表現ばかりが脚光を浴びる日本とは大きく異なるシステムだと思います。本当にオーソドックスな写真にもチャンスが与えられているのです。

結果的に、今回の写真展では10作品が販売されました。そしてそのすべてが結果的に銀塩の写真となりました。同じイメージでインクジェット作品もあることから、またインクジェットの価格を銀塩より若干低く設定したことから、インクジェット作品が売れるのではないかと思っていましたが、見事に期待を裏切られた訳です。また、そのほとんどは15inchの大作品でした。これも少しびっくりしましたが、15inch作品と9.5inch作品の価格差がさほどないことから、ある意味では15inch作品の方にお買い得感があったものと思われます。お買い上げいただいた方の平均年齢は40台後半あたりか。何より、写真アートとしての価値と価格の相性がとても良いと判断されたような気がします。つまり、現在の経済状況からするとアートにお金をつぎ込める状況はなかなかないのかもしれないけれど、さほどリスクのない価格で程度のいい美しい写真作品が購入できるという、リーズナブルな価格だったということなのかもしれません。実際、安すぎるという意見も多かったのですが、おそらくあと100ドル高いと全く売れなかったのではないかとも思えます。

僕は新しい写真世界も好きですが、現代の評価軸の見えない写真のフィールドで一般の方に難しい作品をすすめても、東京の人口を抱えればいざしらず、関西では苦戦するだろうと思っています。いちいち説明をしなくても立ち上がる世界観があれば、その世界観を少しでも一般に伝えるギャラリーとしての言語があれば、値段と実際にイメージできる写真の価値とが結びつく限りにおいて写真は売れると思うようになってきています。

写真を読み解くことを神戸で少しずつ広めていきたいと思っています。
Megさんを見つけたウェブサイトはこちら。ぜひご覧ください。
http://www.photoeye.com/Index.cfm

TANTOTEMPOは引き続きMeg Birnbaumさんの写真を取り扱います。ご覧になりたい方は、事前にご予約をお願いいたします。
R0013628.jpg昨日、神戸ファッション美術館にて開催中のKobe Art Collection 2010の一環として、馬場伸彦甲南女子大学メディア表現学科教授の講演会が開催されました。

馬場先生はTANTOTEMPOとも関わりがあり、写真論に関して非常に大きな見識があります。また、写真を中心としたメディアの役割について深く研究をされています。

昨日の講演会では、特にファッション写真の系譜について、多くの画像を引用しながら時代を追いながら丁寧に語っていただきました。写真が出現した黎明期の動き、つまり肖像画からポートレイトへの流れをかたちづくりながら急激に発展した写真、スタイケンの当時から始まったモダニズムと女性の美の追求、Vogueなどの紙面を飾ったファッション写真、ココ・シャネルの登場とヘルムート・ニュートン、ピーター・リンドバーグ、ハーブ・リッツなどがその後のモードに及ぼした影響などについて説明がなされました。その後もパトリック・ディマシエリエ、アーヴィン・ペン、リチャード・アヴェドン、アニー・リーボヴィッツ、古くは植田正治、アウグスト・ザンダーなどがある種の身体性と時代性を記号化してのアート写真として表現の最先端に立ち続けた経緯が示されました。写真家とその作品を通じて、女性の身体、その身体を覆うモードとそれをメディアとして取り上げた写真という媒体について、明快に語ってくださいました。特にヌード写真が表現する女性の身体への礼賛と常に先端のモードに関与した写真メディアについての話は大変参考になりましたし、この部分の解釈は特に現代の写真を理解する上で絶対に学んでおくべきことだと思われました。ヘルムート・ニュートン以降、現代のファッション写真が単にモードを見せるのではなく、まず身体を見せることで女性の美へと帰着する、つまりモードを表現することになった経緯の説明は大変興味深いものでした。

神戸ファッション美術館は大阪大学現総長の鷲田清一氏の監修のもと数多くの著名写真家のオリジナルプリントのコレクションを所有しています。その数は約2,000点にも及び、現在学芸員と馬場先生などがそれらを分類し整理しているところだそうです。今後様々な機会に市民に公開する仕組みを構築していくことになっています。TANTOTEMPOとしてもこれらの活動に協力していきたいと思っています。

なお、この講演会の模様はUstreamにて配信されました。が、画像は少しお見苦しいかと思います。現在HDビデオにて配信できるよう、新たに映像を準備中です。しばらくお待ちいただければ幸いです。

http://www.ustream.tv/channel/tantotempo
R0010800.jpgMeg Birnbaumさんの写真展がいよいよ今週末で終了します。

先週末にはトークショーが開催され、写真愛好家や写真家など多くの方が集まりました。トークショーでは自身の作品にまつわる物語や、写真教育に関わった経験から、アート写真を制作するのに重要なヒントともいえるいくつかの作家、作品を紹介していただきました。

特に、ただ美しいものを見てそれを写真に写すことには全く意味がなく、どうしてそれを写す必要があったのかという理由付けにこそ意味がある、との持論を話されたのが印象的でした。アートは視覚と対象との関わりなのでは決してなく、あくまでその行為に行きつく撮影者のこころの行いなのだと明確に何度も発言していました。この点は、特に日本の若い写真家の皆さんにもう一度考えていただきたいと思います。美しいもの、整ったものをただ撮るのではなく、どうしてそれに惹き付けられるのか写真の中で説明がなされるべきだ、というなのだと思います。この点を特に理解しないと国際基準に届く写真は撮れないし、写真活動は平坦となり意味を持たないと考えるのは僕も同じです。

Megさんはいったん神戸を離れ奈良、京都と旅をしています。今夜神戸に戻り明日帰国の途につきます。

来廊者の評価も大変高くプリントも期待以上にセールスがなされました。プリントのクオリティーに対して価格が大変お求めやすいものだからだと思います。Megさんの写真展もあと週末をひとつ残すのみとなりました。今週末、21日(日・祝)は祝日ですが営業いたします。22日(月・振替休日)は休業いたします。カフェもギャラリー展示もありませんのでお間違えのないようお願いいたします。

今週末はぜひギャラリーにお越しになりMegBirnbaum写真展をご覧ください。
TANTOTEMPOが待ちに待った写真家のMegBirnbaumさんが昨日神戸に到着しました。

ボストンからサンフランシスコ経由で関空に到着、バスで神戸に到着したのが午後7時過ぎ。午後8時にホテルに迎えにいくと、長旅の疲れにもかかわらず出てきてくださり、TANTOTEMPO代表と3人で食事に出かけました。僕の英語力も少しは錆び付いた感がありますがちゃんと通用し、パスタなどを食べながら打ち合わせをしてきました。一夜明けた今日も、夕食をとりながらいろいろとまじめな話しをしてきました。彼女の興味は、震災、原爆、イルカ・クジラ漁、映画、政治、経済、トヨタ問題(彼女はトヨタ車に乗っています!)など多岐にわたりましたが、僕が意外なほどそれらの話題に持論を展開するのでかえってびっくりしていたと思います。コミュニケーションがしっかりとできることがわかり、お互い安心したところが大きいと思います。

今日は残念ながらTANTOTEMPOは休廊日でしたが、夜少しギャラリーに寄ってきました。展示もギャラリーカフェ、ライブラリーも大変気に入っていただいた様子でした。明日は午後の比較的早い時間は在廊される予定です。また、12日も在廊日となる予定です。直接写真家と話してみたい方は、通訳はありませんがぜひギャラリーにお越しください。

このほか、トークショーを開催する13日も在廊の予定です。13日であれば基本的に僕が通訳をいたしますので、お気楽にお越し下さい。トークショーもまだご参加いただけます。
トークショーではMegさんの写真世界をスライドショーにて紹介していただくほか、時間が許す範囲でMegさんと僕が参加者の写真をレビューします。ただし、レビューをお受けできるのはトークショーにご参加していただいた方に限らせていただきます。ご了承ください。

ぜひご参加ください。

Megu Birnbaumトークショー
3月13日(土)午後4時から
参加料1,000円 要申込

お電話078−393−0810(AM11:30 - PM7:00)、またはメールevent@tantotempo.jp(24H)までご連絡をお願いいたします。
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Meg Binbaum写真展、好評開催中です。週末になると多くの来廊者でにぎわっているMegさんの写真展ですが、いよいよ今週来日され、神戸はじめ関西に滞在。トークショーなど盛りだくさんにご参加いただきます。13日のトークショーもまだお申し込みいただける状態です。

アメリカの現在の写真界の情報、プリントマーケット情報や中国での写真フェアの現状、ボストンやマサチューセッツあたりの生活環境を、自らの作品作りとともに写真家自らがスライドショーにて紹介してくださいます。

ぜひご参加ください。参加料¥1,000、お申し込みが必要です。
078−393−0810までお電話あるいはevent@tantotempo.jpまでご連絡をお願いいたします。

写真家もいろいろな写真を撮っていてものすごい数の写真を捨ててシリーズをつくるのだとすれば、選ばれた作品はかなり整って表現されているはずだ。それがばらけているととたんにその写真家を信じられなくなる。

posted at 23:57:38

どういう基準で写真家を選びどういう基準で写真を選ぶのか少し考えさせられた。結局のところ、一貫した言語が通う作品を選んでいるし、それは作家もそう。

posted at 23:55:04

@shin1957 並の方ではありませんからね。あの写真がギャラリーを埋め尽くすことを想像するだけで身震いですね。ただし、神戸ではドン引きされます。

posted at 23:31:14

@shin1957 えええ?まず前交渉で無理。前交渉で通っても、構成で無理。構成で通ってもうちの社長のところで大もめする。社長が通っても一般観衆が理解しない。何より、予算で無理。

posted at 23:10:14

@Aya_Takada どうぞ、ご連絡をくださって結構ですよ。ちゃんと検討してみますよ。

posted at 22:24:06

D'agataできるところ日本にあるかな?

posted at 22:19:47

@Aya_Takada D'agata呼べたら最高なんですけど、神戸では(うちでは)できないな。

posted at 22:15:35

@Aya_Takada まじめに考えてみますよ。すごい危なっかしいネタが多く、めちゃ勉強してます。例のロシア女史界隈も候補。

posted at 22:12:39

@ko_Leica @shin1957 @tedmom66 ご心配おかけしました。ありがとうございました。

posted at 22:01:08

すごく行きたいですが、行けないので呼び寄せる、ということを考えてみたりします。東京の地下鉄でストロボ撮影させたいですね。 .@Aya_Takada .@tanto_tempo 彼の写真展が間もなく行われます!

posted at 21:58:11

これいいですね。かなりすごいwストロボかよって。 RT @Aya_Takada David Solomonsさんの地下鉄の写真です。彼に限らず、地下鉄でのスナップはとても面白いものが多いのです。 http://www.davidsolomons.com/underground/ 

posted at 21:40:16

今日はギャラリーからだいちょうふぁいばーに始まって、六甲アイランドのファッション美術館、そしてギャラリーに立ち寄って西宮オフィスなう。Mさんも胃の調子が良くないというし僕もだいちょうふぁいばーの後なのでおじやを作って食しました。

posted at 21:34:45

Look my new video on Ustream. http://ustre.am/:lVFz

posted at 17:54:13

I'm broadcasting, from my iPhone, live on Ustream. Come watch! http://ustre.am/9zB0

posted at 17:49:32

神戸ファッション美術館なう。KobeArtCollection2010会場で、アーティストやディレクターの皆さんと談笑中。僕は群れを外れてスタバにてコーヒーなう。詳しくはこちら。 http://kobeartcollection.com/

posted at 17:15:33

僕は今からKobe Art Collection 2010のレセプションに向かいます。

posted at 15:54:34

実況中継はなりませんでしたが、無事だいちょうふぁいばー終わりました。ぽりぺくとみーもいくつか行って、若い人のちょうのようにきれいになった!と太鼓判をおされて帰ってきました。癌の所見はなかったため、もうしばらく生きられそうです。TANTOTEMPOももう少し続けてみますw

posted at 15:51:42

診療所に到着。今からだいちょうふぁいばー。初体験にどきどき。

posted at 12:20:33

@ko_Leica アザーす。1時からだいちょうふぁいばーそうにゅうしてもらってきます。

posted at 09:36:15

下剤を服用中なう。1800mlは苦痛。なんで早起きして下剤など飲まねばならないのだ?

posted at 08:16:15

kiriko_9.jpgのサムネール画像
人生劇場というべきなのか、はたまたセルフドキュメンタリーという写真アートのカテゴリーなのか。

本年度のキャノン写真新世紀に佳作で入選したキリコさんの写真の話題のシリーズを、実は僕は昨年11月末東京写真美術館で観ていた。キリコさんご本人とはその少し前の10月に関西御苗場の会場でお目にかかっている。何かと話題の写真作品なのでいろいろな人との会話の中に登場するし、若い世代の多くが「いいですよ」と好意的な印象を語っているのに、僕は基本的に批判的な視線で眺めていた。その理由はあとで述べるが、少なくとも東京で見たポートフォリオは、予想通り元旦那という男性を粗く削りとったプライベートスナップにしか見えず、ストーリーも表題である「旦那isニート」との言葉のイメージが強いだけに構成としても想像の範囲を超えるものではなかったのだ。キャノン写真新世紀自体も全体として魅力に欠け、同時に開催されていたサルガド展、木村伊兵衛・アンリカルティエブレッソン展の高揚とはかけ離れた世界だったためか、正直全体を少し引いて観てしまったところもある。

写真を作品として制作するという作業を若い世代がどのようにとらえているのか、僕はいつも興味をもってみている。自分の魂の叫びの表出、という人もいれば、社会の構造と自身の間に作品を置く人もいる。単に美しい風景を追い求めてフットワークも軽く挑戦している人もいる。写真がアートの一形態であり表現である以上、それがどのようなものであってもいいのだが、作品として世に出すということになると責任がついて回るし、作品が社会と関わる糸口を見せないとそれはアートとは言えない。表現は、いつもたった一人のこころの中から立ち上がるのだが、他者のこころの中に伝搬するか投影される仕組みをもたなくてはならないのだ。

そういう意味で眺めると、確かにキリコさんの作品「旦那isニート」は個人的な体験が元ではあるけれど、夫婦という最も小さな社会単位について記述しているし、元旦那と関わることで経験した離婚という出来事を良くも悪くも表現していることには違いない。本質的な部分は別にしても、個人的な体験をドキュメンタリーのタッチで冷静に振り返っている作品としてとらえると、確かにセルフドキュメンタリーのという写真のカテゴリーに当てはまる。問題は、アートの域に届いているのかという点だ。撮影方法が普段通りのスナップでしかなく、意図はどうであれ写真そのものがクオリティーを表出するものではないことは東京でポートフォリオを観てすぐに解釈できた。そう、むしろファイルに綴じられたいくつもの生活の切れ端のようなものの寄せ集めが大事なのだ。

kiriko_33.jpgのサムネール画像
さて、大阪のPort Gallery Tで開催されていたキリコ展である。オープニングの当日、おそがけに会場に着くと既に多くの若い人々が集まってキリコさんを取り囲んで大変盛り上がっていた。写真は、一部作品が壁面に展示されるにとどまっており、展示の本体は映像作品として壁面に投影されるというものだった。このアイデアはまず良かった。先に述べた寄せ集めの断片、ちぎれちぎれに分断され提示されていく彼女の元旦那を巡る「写真」たちが、その個々の断片においてはおそろしく抑揚がないのに、映像とテロップと二人の歴史を追った構成が加わることで機能し始める。断片のそれぞれが弱々しい男性の生き方を綴りながら、構成上は出会いから破局までの撮影者の心理描写を含んでいく。そして、この撮影者の心理描写の中に垣間見える元旦那像を徹底してスナップしていく表現者としての冷静さが、この映像の全編にわたる不幸の中からにわかに立ち上がってくるところがこの作品のすごさなのだと気づくのにそう時間はかからなかった。「勘弁してくれ、もう嫌なんだよ」と書かれた元旦那の携帯メールの一文を撮影する心理は、困惑する妻の感情を超えて、ひょっとして最初から離婚劇を作品化する気じゃなかったんだろうかと疑わせるのに十分だ。

人生劇場は普通にその辺に転がっている。離婚や恋愛の終焉は、経験すると重いが社会の「ネタ」としては軽くなりすぎた感がある。人々がこの作品に共感する理由はどうしてなのか。僕なりに考え、こういうことなのだろうと思うに至ったので書いてみる。

人はレトロスペクティブに生きることはない。人は一度生きた人生を振り返りはするが、後で美しく読み返すために構成しながら生きることはできない。でも、冷静な私、冷静な彼、冷静なあなたはいつでも、どこにでもいて、常に人生を客観視しながら生きているのだ。離婚という激しい駆け引きと冷静たり得ない構造の中に滑稽なほどちっぽけな元旦那と自分を置いたとき、感情的なものとは異なった客体としての構造と「冷静」さという新たな感情が生まれてくる。キリコさんはその感情を最後には「愛」とつづり、物語に終止符を打つのだ。とすると、この映像作品はやはり愛の物語なのだ。

自分の人生を他人に見せることはひどく難しい。人から聞かされる他人の人生はいつ聞いても退屈だ。だから僕は写真における人生劇場はアートの視点で見られたとしても好きになれないし、批判的になる。若い世代のドロドロした精神世界など、後で観て恥ずかしくなるようなものはギャラリーのレビューでもいつも切って捨てている。アラーキーはすごいが、彼が何枚もの壁を突き抜けて先をいったのはもう昔のことだ。まねをされ、あこがれをもって賞賛された古いスタイルのドキュメンタリーが今も通用しているのかというと、もはやそんなことはないだろう。もしそうだとすれば、それは日本の写真表現やそれを感じ取る目が全く進化していないということになる。また表現者の多くは、人生を見せるために出来事をディフォルメし、隠喩、暗喩などあらゆる手法を用い美しくあるいは曖昧に飾り立てたりする。それがなおのこと嫌いなのだ。しかし、写真というある種直接的なメディアを使って、最も激しい感情的な闘争を繰り広げた元旦那を確信犯的に登場させ、しかもそれで表現の中心に問いかけるセルフドキュメンタリーの手法となると、その態度は凛々しくもある。青い時代の表現が後で苦々しく思い出される局面もあるのかもしれないが、正確に断片を綴っている限り感情と冷静と青さの中に真実が見えるし、そして何より愛の物語はいつの時代も絶大だ。そんな意味でも、キリコさんの作品は社会とつながっているしその製作態度はとても評価できると思う。

今、写真表現は混沌としている。写真表現は、さほど意味のない無数のイメージの海に溺れてさえいて、何がすばらしいのか読み解くことすら困難だ。人々はもはや写真など信じてはいない。人々はニュース番組にさえ真実味がないことをよく知っている。劇場化した不実な写真世界が無数に垂れ流される中、セルフドキュメンタリーだけはまだ真実なのだ、そう叫んでいるようにも思える。自ら身を切ることで得られる真実。突き進んでは欲しくはないが、そうでもしないとアートの岸辺にはたどり着けないのが現代の写真なのかもしれない。

おそらくいつも痛みを伴うだろうが、痛いからこそ決して消えてはいかない真実の写真世界、キリコさんが今後どのようなテーマに挑むにせよ、今後のご活躍を期待したい。

興味を持たれた方はぜひPort Gallery Tでキリコ展をご覧ください。
3月6日まで。

4月13日から18日まで、東京の企画ギャラリー、明るい部屋にて同じ内容の展示があります。
大阪展を見逃された方、東京方面の方、ぜひご覧ください。



写真イメージはともにキリコさん提供
©Kiriko

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