笠野泰照写真展"One Day - Melody in New York"終了しました。

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PB071151.jpgTANTOTEMPOにさわやかな空気を残して、笠野泰照写真展が終了しました。

期間中、驚くべきことですが、12作品の販売がなされ、集客という点でも抜きん出た成績となりました。この景気の悪い中これほど作品が動くとは正直考えていなかったため、うれしい誤算というほかありません。しかし、これが本当に誤算と言うべきものなのかしっかりと検証するべきだと思います。

笠野さんの作風は極めてシンプルで目立った特徴がある訳ではありません。際立ったイメージの美しさがあるわけでもないと思います。それではどうしてこれほど売れたのでしょうか?僕はこれまでの彼の写真活動の中にヒントがあるように思います。彼はかなり積極的に写真を売り込んで様々な写真活動を行っていますが、必ずといっていいほど何らかの"結果"を残しています。最高賞はもらわないけれど入賞しているのです。じっくりとイメージを練り上げるアート作品と違って、スナップは通りすがりの一風景です。街を歩き、わずかな視線でとらえた対象をフィルムに焼き付けるスナップは、ともすれば単調なものですが、彼の場合はシンプルな中にもユーモアがあったり少し抑揚があり、メロディアスに感じ取れるのです。スナップという写真の一方法についてものすごく勉強しているのがわかります。ロバート・フランクやアンリ・カルティエ・ブレッソンなどの大御所の写真をよく知っているし、彼らに憧れて写真に取り組むようになった写真活動の初期の衝動が作品から見て取れるのです。さらに、やはりプリントがすばらしい。丁寧に制作されているのが好印象で、この点は多くの来廊者が賛同されると思います。

もうひとつ挙げるとすれば、彼は期間中アメリカ出張があり開催をDutyにしているギャラリーのイベントが実現しませんでした。しかし、それ以外の週末はほとんど在廊し、多くの友人関係者をギャラリーに招いて熱心に売り込みをしていました。単なる個展での発表会に終わらせることなく、最終日の最後の瞬間まで熱心に売り込みをしていた姿が大変印象的でした。12作品のうちの数作品はそういった関係者へのセールストークで出ていることは確かですが、これもよほど高い志がないと照れや遠慮で売れるはずもありません。一方で写真のコレクションに興味をもつ目利きにも訴えての販売も着実にありました。

TANTOTEMPOの活動も少しずつ認知されてきているのだとうれしいのですが、今年は政治の不安定さや経済が揺れ動くという文化にとっては極めて難しい時期にあると思います。そんな中で笠野泰照写真展が大成功で終わったことはギャラリーにとっても本当にうれしいことです。昨日、笠野さんと交遊のある71歳の外国人ジャーナリストは「ヤス(笠野さん)の作品はわかりやすいからいいんだ。写真なんてシンプルがいいんだよ。写真を難しく表現する必要なんてあるかい?」と話して帰っていきました。こんな時代だからこそ、奇をてらった難しい作品よりも、わかりやすい身近なイメージが好まれるのだ。写真の原点に戻ろうよ、一日一日をしっかり踏みしめてそこにある"今"を記録しようよ、と。

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