2009年12月アーカイブ

PC121310.jpgTANTOTEMPO pure写真展、"pure photography +plus vol.2"が終了しました。

Twitterでは簡単に報告を出したのですが、恒例の写真展終了時のイベントの報告について、正式なものがまだだったので記します。

今回の写真展はTANTOTEMPOが提案する「写真を飾る生活」をもとにギャラリー内にリビングルームを再現し、作品の展示を行う写真展です。若手写真家を発掘し育てるというTANTOTEMPO pureという枠組みに若手写真家の参加を促し、ギャラリー内でいろいろな形で紹介するというプロジェクトも含むイベントと位置づけています。

昨年も同様の写真展を開催しましたが、若手写真家の参加する写真の枠組みとしてもっとも難しいのはある程度のレベルを保ちながら持続的に積極的な関わりがもてるか、という点につきます。実際写真活動が途絶えたり全く連絡が取れなくなる写真家が出現するなどもあったため、夏の終わり頃から新規の写真家を募集して臨みました。

結果としてたくさんの写真プリントのセールスを記録することができました。9作家、延べ36作品が販売されました。もちろん、こういうイベントにはいわゆる身内が買い上げていく販売があるため一概には言えませんが、しかし昨年を大きく上回る販売でした。

販売数が増えたのは、非常に強力なイメージを持って名古屋から参加されたCojuさんのご活躍があったからです。Cojuさんはモノクロフィルムから起こしたデジタルデータをもとに極めて整ったperspectiveに構造を配置した静かで高品位なインクジェットモノクローム作品を豊富に持ってこられました。それに加え、全国から関わりのある方、神戸在住時の友人関係者など、展覧会前から積極的なアピールをされ、展覧会期間中も多くの時間を在廊され販売にまでつながるしっかりとしたセールストークを繰り返しておられました。また、額裝やプリントのみといった作品のプレゼンテーションも豊かで、とても買いやすい構成を考えてこられていました。強引な取引だとギャラリーとしても印象を悪くするだけですが、彼は逆に人柄で語りかけるようにトークをし売り上げていたのが印象的でした。Cojuさんの作品のそばには作品が売れたことを示す赤いマークが数多く並んだため、連鎖的に他の写真家の作品も販売された可能性があります。こういう写真展には、来廊された写真ファンに美術品としての写真を買って自宅に飾るということをイメージさせるだけでも大きな意義があるのです。

12月26日には写真家が集まってのトークショーが開催されました。写真界に限らず日本の政治や経済、社会全体が閉塞する状況にあって、どのように写真活動を行えばいいのかを考えるのは大変です。特に若い世代の写真家は新しい表現を模索するかオーソドックスな手法を追求するか、どこかの時点で何らかの選択を迫られていると思います。ギャラリーという活動単位についても、僕たちは常に先人たちの後を着実に踏みながら歩いていく必要があるのですが、実際には後をついていきたくない状況も多々あります。つまり、目指している世界がどうも美しく見えない場合があるのです。とすると僕たち自身もまた誰かに追われたときに果たして正しい方向を向いて美しい背中でいられるのか大変疑問です。規範とするべきものを失ったとき、時代は混迷し進むべき方向を見失います。僕たちはまさにそんな時代に生きているのだと思います。そういう時代の逆風から最初に立ち上がるものがあるとすればそれはアートだと思っています。時代が混乱すればするほど、目標を失ったひとが増えれば増えるほど、表現は数多く立ち上がります。それらが少しずつ立ち上げっては打たれ、立ち上げっては打たれしてアートは地固めを果たしていきます。それを僕は若い世代の写真家に求めたいと思っています。大きな美しい背中が見えない時代だからこそ、誰よりも先に立ち上がり迷いながらでも流れを作っていって欲しいと思います。そして、表現者として誠実に作品を作ってもらいたいと思います。そうすればその背中は追いかけたいほど美しくなると信じています。

また、現在我々が組み込まれている写真システムについて、僕は疑ってかかるよう参加者や写真家に説明しました。アート教育の平坦な日本において、写真のことを知る一般のひとがほとんどいない現状がどのようにして生まれたのか、当然だと誰もが信じているアートの写真を巡る現状について、あえて問いかけていく必要があると説明しました。写真の権威付けと実体、カメラメーカの写真イベントへの関与、カメラの販売攻勢と表現者を名乗る写真家のおびただしい増加、様々なイベントが無秩序に立ち上がっていく様子など、新しい表現とオーソドックスな表現との力学、写真を巡る経済・政治力学についても着目する必要があることを説明しました。最後に、写真教育をできるだけ低学年から始める仕組みについて提案を行いました。写真美術館などでの現場教育について、小学校や中学校からの現場教育がアートの裾野を広げるために大切なことなのだとの意見を表明しました。

TANTOTEMPO pure写真展も2回目、写真を生活空間にもたらすほんの小さなきっかけを作っているにすぎませんが、枠組みをもう少し工夫しさらに発展するよう来年も開催していこうと思っています。TANTOTEMPO pureをどうぞこれからもよろしくお願いいたします。
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沖本さんは10月から行っていた追加写真家募集に応募してこられた写真家です。

ポートフォリオレビューを行って直ちに採用が決まりました。ポートフォリオレビューで拝見した作品は、社会性の高いドキュメンタリーアート作品で、AIDSを素材にした作品でした。登場人物との関わりとカメラ位置、テーマ性という点でかなりつくり込んだ作品で、僕も思わずうなってしまいました。

今回の写真展では、モノクロ銀塩のスペインで撮影されたスナップを展示しています。

若いからこそ目をそらすことなく直視すべき社会問題は多々あります。そんな問題に視線を投げ掛ける姿勢は評価すべきだと思います。表現も若さを感じさせるエネルギーがあり、思わず引き込まれるイメージもあり可能性を感じます。

社会派の写真家は常にジャーナリスティックな視点を要求されます。しかし、強い写真を持つとそれが言語になることを沖本さんはよく知っていると思います。あとはこれらの強い写真をいつ誰に見せるのか、問題の大きさと時代性について考えておくと必ず開花するように思います。今後の活動に注目していようと思います。

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11月に大阪南港、CASOで開催された関西御苗場の写真展レビューを担当させていただいた際、数多くの写真家のなかでも僕が注目した写真家の一人が宮西範直さんです。

ハイキーなコントラストと精緻な描写、オーストラリアで撮影したという町の風景写真ですが、空のトーンや町の一角や建物などのモチーフがあたかも退色したネガ写真のように綴られていくシリーズです。今回の写真展では展示されていませんが、同じ町の海辺のサーファーが集まるスポットを撮影した作品もあって、まるで古い映画"Big Wednesday"を観ている気分でした。大変美しい写真作品で、作品が大きいこともありかなりインパクトがあります。

中判カメラで撮影された作品とのことですが、スキャニングが相当高度な技術を使っているとのこと、とても精緻なプリントです。

美しいイメージを、テーマ性やストーリーなどの上に積み上げられるようになると面白い作家になると思います。今後の活動に注目していたいと思います。
PC121306.jpg芦田さんは大阪Nadarでグループ展を開催されておられる時に僕の方からお声をおかけしてpureに参加していただきました。

当時は大学の建築学教室に在籍する傍ら写真の面白さに取り憑かれての写真活動だったようですが、現在は写真を中心の生活をされています。

芦田さんの作品は、女性ながら珍しい建築写真です。建築物の外観のみならず、内部に入って光線が室内に陰影をもたらす様子を丁寧に綴る写真家です。中判カメラで撮影された作品は建築物の生命線といえる構造のみならずどうしてその建築物がそのカタチにつくられたのかという点にも着目して制作されています。

今回の写真展ではアクリル作品と額装作品を展示しています。それぞれ建築物のもつディテールに迫る写真ですので、ぜひご覧ください。
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TANTOTEMPO pure写真展、pure photography +plus vol.2が始まりました。

今年は8名の写真家による壁面展示と5名のポートフォリオによる写真展です。

なんと言ってもこの写真展の特徴はギャラリー内に家具を設置しリビングルームを再現していることです。しかし、それもこの写真展の一つの要素にすぎません。結局のところ、作品が優れていないと意味がないからですが、今回はかなりストイックな作品が集まっています。

次回の記事から各写真家の作品と特徴などを少しご紹介しようと思っています。
PB071151.jpgTANTOTEMPOにさわやかな空気を残して、笠野泰照写真展が終了しました。

期間中、驚くべきことですが、12作品の販売がなされ、集客という点でも抜きん出た成績となりました。この景気の悪い中これほど作品が動くとは正直考えていなかったため、うれしい誤算というほかありません。しかし、これが本当に誤算と言うべきものなのかしっかりと検証するべきだと思います。

笠野さんの作風は極めてシンプルで目立った特徴がある訳ではありません。際立ったイメージの美しさがあるわけでもないと思います。それではどうしてこれほど売れたのでしょうか?僕はこれまでの彼の写真活動の中にヒントがあるように思います。彼はかなり積極的に写真を売り込んで様々な写真活動を行っていますが、必ずといっていいほど何らかの"結果"を残しています。最高賞はもらわないけれど入賞しているのです。じっくりとイメージを練り上げるアート作品と違って、スナップは通りすがりの一風景です。街を歩き、わずかな視線でとらえた対象をフィルムに焼き付けるスナップは、ともすれば単調なものですが、彼の場合はシンプルな中にもユーモアがあったり少し抑揚があり、メロディアスに感じ取れるのです。スナップという写真の一方法についてものすごく勉強しているのがわかります。ロバート・フランクやアンリ・カルティエ・ブレッソンなどの大御所の写真をよく知っているし、彼らに憧れて写真に取り組むようになった写真活動の初期の衝動が作品から見て取れるのです。さらに、やはりプリントがすばらしい。丁寧に制作されているのが好印象で、この点は多くの来廊者が賛同されると思います。

もうひとつ挙げるとすれば、彼は期間中アメリカ出張があり開催をDutyにしているギャラリーのイベントが実現しませんでした。しかし、それ以外の週末はほとんど在廊し、多くの友人関係者をギャラリーに招いて熱心に売り込みをしていました。単なる個展での発表会に終わらせることなく、最終日の最後の瞬間まで熱心に売り込みをしていた姿が大変印象的でした。12作品のうちの数作品はそういった関係者へのセールストークで出ていることは確かですが、これもよほど高い志がないと照れや遠慮で売れるはずもありません。一方で写真のコレクションに興味をもつ目利きにも訴えての販売も着実にありました。

TANTOTEMPOの活動も少しずつ認知されてきているのだとうれしいのですが、今年は政治の不安定さや経済が揺れ動くという文化にとっては極めて難しい時期にあると思います。そんな中で笠野泰照写真展が大成功で終わったことはギャラリーにとっても本当にうれしいことです。昨日、笠野さんと交遊のある71歳の外国人ジャーナリストは「ヤス(笠野さん)の作品はわかりやすいからいいんだ。写真なんてシンプルがいいんだよ。写真を難しく表現する必要なんてあるかい?」と話して帰っていきました。こんな時代だからこそ、奇をてらった難しい作品よりも、わかりやすい身近なイメージが好まれるのだ。写真の原点に戻ろうよ、一日一日をしっかり踏みしめてそこにある"今"を記録しようよ、と。
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以前から告知していた通り、1月から主に関西の自主企画系写真ギャラリー、あるいは企画ギャラリーの写真展情報を提供するポータルサイトを開設します。

これらのギャラリーの写真展/イベント情報を、文字情報のみならずフライヤーやチラシの画像情報、PDFファイルなど様々な方法で提供することが可能となる予定で、現在技術的な問題はほぼクリアし提供する情報の範囲を調整している段階です。
ユニークなのは、TANTOTEMPOに送られて来る案内ハガキなど写真展案内をそのまま画像化して掲載する点で、写真家やギャラリーからハガキを送付していただくだけで無料で情報を掲載することが可能です*。

ぜひTANTOTEMPOまで写真展やイベント情報のハガキをお送りください。また、実際に試験運用中のサイトをご覧になりたい方、お問い合わせはinfo[at]tantotempo.jpまでご連絡をお願いいたします。12月後半にアドレスをご案内いたします。
サイト運用開始後は、フォームから申し込むことができるようになります。

また、このサイトでは各写真展について、口コミ情報としてコメントシステムを取り入れ、展覧会に足を運んだ訪問者に評価を残してもらえるよう工夫をしています。

さらに下記のような仕組みを構築予定です。
  • 「さくら写真展レビュー(ベータ)」写真展にギャラリスト、写真家などがおとずれレビューを行い記事掲載をする(有料)
  • 写真家/ギャラリーのウェブサイトへのバナーの貼付と個別ページの作成(トップページ有料/一般リンク無料)
  • オリジナルプリントのウェブ販売(さくら)、リアルベース販売(TANTOTEMPO)(ただし、レビューが必要)
  • 写真集レビュー、写真家インタビュー、ギャラリーインタビューなど

*チラシや案内ハガキも著作物ですので本来掲載の許諾を得る必要があります。しかし広報印刷物の趣旨に照らし原則として今後TANTOTEMPOにお送りいただく写真展案内は特に許諾を得ることなく掲載する方向で検討しています。どうぞご理解ご協力をお願いいたします。

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