2009年8月アーカイブ

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昨日、「やさしいモノクローム」写真展のトークセッションが開催されました。
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写真展参加写真家4名全員が参加してのトークセッションでしたが、本当にたくさんの方が来廊くださり、会場は大いに賑わいました。

写真活動のキャリアも作風も全く異なる4名の写真家がそれぞれどのようなテーマで写真と関わっておられるのか、また銀塩写真を撮り続ける理由や魅力とはなにか、特にモノクロ銀塩写真の表現力という点において、作品作りに必要ないくつかのエレメントについて、それぞれのお考えをお聞きしました。

印象に残ったのは、東京からご参加いただいた福山さんの「月がついてくる」シリーズの作品作りについて、垣根やフェンスを写し込みながら向こうの景色を撮影するコンセプトが、他者の生活、自分と異なる世界に強く引きつけられるという動機に基づいて撮影されているということです。他者と自身の間に明らかな境界をもうけることで、より強く自己の存在を表現しようと試みているような印象を強く受けました。

また、大阪から参加いただいた角田さんは、旅という非日常の状況で、ある種のストレスを感じる事件が起こったことから、不安定さを覆い隠すようにシャッターを切った結果の心象風景なのだとの説明がありました。

山脇慎也さんは、淡路島にある大石可久也アート山美術館という美術館とその美術館を擁する海の見える山谷、そしてその館長で美術家の大石可久也さんやそこに関わる人々をモチーフに作品作りをしていて、まさに一人の美術家に魅せられた結果生まれてきた作品とのことでした。

今回の写真展のメインゲストである陰山さんは、銀塩写真の魅力について、特にそのテーマ性、保存性を強調されました。
現在展示中の「Japan,Japanese」シリーズ以前の作品作りについて、ある出版社の編集者から「独りよがりな写真」という批判を受けたことから、銀塩写真そのものとの関わりを再構築することを余儀なくされた結果、「Japan,Japanese」というシリーズが生まれたとの説明がありました。社会を斜めから眺めるのではなく、真正面からとらえることで強いイメージ、いつまでも残る記録としてのドキュメンタリー写真が構成されていくのだとの説明がありました。加えて、銀塩写真の保存性について、やはり銀塩写真の魅力は100年は色あせない、他のどの写真技法に比べても保存性において優れているとの持論を展開されました。陰山さんの写真の魅力は、日本の社会や文化を真正面にとらえてまさに記録するドキュメンタリー性だと思います。日本の現代社会の混乱をあらわにするのではなく、日本本来の強さ、美しさをしっかりと記録することで、国と自分との関わり、見たものと国のとの関わりを明確に意識させようとする写真家のまなざしなのだと思います。僕は、このまなざしこそ「やさしい」まなざしなのだと思い、写真展の中心に据えることにしたのです。

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会場からは、フィルムとデジタルデータの取り扱いの違い(不要なイメージを捨てるか捨てないか)、薬液を使うなど環境への配慮について質問、ご意見がありました。

ギャラリーからは、写真表現が多様化してひとつの優れた作品を見つけること自体が大変な時代にあって、「やさしいモノクローム」というコンセプトの写真展をグループ展で開催した理由について説明しました。ある種の表現が拡散して希薄化する中で、決して廃れたり失われない表現としての銀塩モノクローム写真の普遍性について、特に強調できたのではないかと思います。ただし、「やさしい」という曖昧な写真展コンセプトについては、受け手である観客のみなさんの印象にゆだねたいと思います。この点に疑問を投げかけてくださった方もおられましたが、キーワードとしてのこの言葉がどう響くかも、結局のところアートの懐の深さなのだと考えています。

1時間半を超えるトークセッションでしたが、熱心な来廊者のみなさまに支えられ無事終えることができました。写真家の皆さん、来廊者のみなさん、本当にありがとうございました。

(写真家:掲載順;福山えみさん、角田佳子さん、山脇慎也さん、陰山光雅さん)
P8230705.jpg「やさしいモノクローム」写真展のトークセッションが明日開催されます。

モノクロームの銀塩写真の表現力を問いかける今回の写真展、キャリアも表現も異なる4名の写真家が一堂に集まり、ひとつのキーワードをコンセプトにイメージを集めてみました。

対象物や被写体、作成する意図や思想、時間性、出力結果、観察者として風景に関わる距離感、撮影時の心情など、どれも写真のパワーを構成するときに必要なエレメントとなります。その中に「やさしい」というものがひとつでも含まれているとギャラリーが考えた作品を抽出し、計28作品を展示しています。

銀塩モノクロ写真は、撮影者にとっては大変人気が高く、新たにこの写真を志す人も後を絶ちません。しかし、現実にはフィルムメーカー、印画紙メーカー、ラボも相次いで撤退していて、銀塩写真を取り巻く環境は厳しさを増しています。そんななかでも表現者が目指すのには理由があり、それがまさに銀塩モノクロの表現力、ということなのだと思います。

トークセッションではこの辺りにフォーカスし、4人の写真家の対象への執着、愛情、作品作りのコンセプト、銀塩写真への思いなどをあからさまにしたいと思っています。

まだまだ、ご参加いただけます。ぜひTANTOTEMPOで「やさしいモノクローム」写真展のトークセッションにご参加ください。参加無料です。


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夏の恒例のアートフェア、ART OSAKAに行ってきました。神戸・栄町通のアートギャラリーであるGallery PAXREXさんが今年初出展されたので、手ぶらでしたが、応援に行って参りました。(写真上右:pechuさんのバスルームの展示/写真左:pechuさんの実演)

今日は最終日だったのですが、8Fから11Fに設定された客室の展示は、各フロアとも多くのギャラリーが入っており、にぎわっていました。現代アート系のギャラリーがほとんどで写真は数ギャラリーのみだったのが残念ですが、アート全体で考えるとこれが日本で特にこの時代の趨勢だと思います。

神戸で写真ギャラリーを展開する新しい動きもあるようで、そうなるといくつかのギャラリーがアイデアを持ち寄って人を集めるイベントを開催していくこともできるはずです。またその必要があることを痛感しました。写真展を見に来てくださる多くの来廊者の方が増えるのはすばらしいことですが、写真愛好家の人口がどこの国よりも格段に多いここ日本で写真を買い上げていってくださる人が少ないのはどういう理由なのか、写真展の企画をするわれわれギャラリーの自省も含めて、一度考えてみる必要があると思います。そんなことを考えながらアートに触れた一日でした。
P8230702.jpgモノクロ銀塩写真のグループ展が始まりました。その名も「やさしいモノクローム」です。

銀塩写真が気分や空気感をより表出させやすい写真だと定義してイメージを眺めてみると、実際に様々な表現の中に確かに作家のこころの行いが見えてくる作品も多いことに気づかされます。この点をこの写真展のコンセプトにしてみました。

加えて、TANTOTEMPOでも銀塩写真の今後がどのようになっていくのか、フィルムやプリント用紙関連のブランドが相次いで撤退をしていく中で、大変注目をしています。銀塩写真の保存性と高いアート性に着目すると、やはり消えていくのは残念です。

そこで銀塩写真の保存活動に積極的に関わって発言されている写真家・陰山光雅さんを中心に、銀塩での写真活動を行っているキャリアも表現も異なる3名の若手写真家を加えて写真展を企画しました。8月30日には写真家全員がそろってのトークセッションを予定しており、銀塩写真の表現力やその魅力、銀塩写真の今後といったテーマで銀塩写真について語り合いたいと思います。

トークショーは参加無料です。お申し込み先着20名様となります。ふるってご参加ください。

また、今回の写真展では大変お求めやすい価格にて銀塩モノクロ写真をご提供いたします。特に今回の写真展に出品いただいているプリントはどれも大変美しい作品です。この機会にぜひお買い求めください。
R0012895.jpg昨日、菊地和歌子さんのギャラリートークを開催しました。

ギャラリートークでは、菊地さんの写真活動のうち、今回の写真展で展示した雪のシリーズがどのようなきっかけで作られていったのかを、幼少時の雪国体験から学生時代の写真活動、就職後の閉じた環境から本格的に作品を作っていこうと考えた経過から説明していただきました。

雪のイメージというと、雪の質感を見せる技巧に偏りがちになると思います。菊地さんの作風は雪が自然の造形の中に降り積もりそこにたたずむ様子を、雪とこれらの造形との関係性で表現しようとしているのだと思います。雪と山、雪と木々、雪と風、雪と青空、吹雪の様子、雪のディテールなど、雪についてのすべてを含んでいますが、それが単に風景写真にとどまっているのではなく、いくつものモチーフを使って雪そのものの存在、雪の白さを豊かに表現している点が面白いのだと、ギャラリーがこの企画展を開催するに至った経緯を説明しました。

タイトル"echoes"はそんな雪の景色と写真家の対話、白い世界にたたずむ写真家が厳しい冬山の静寂の中から聞き取る音を「木霊」として表現しているとのだと思います。

菊地さんはプリントでも大変粘り強く色調や質感を損なわない丁寧な仕上げを心がけていて、この点も高い評価ができると思います。一方で、やはり初めての個展ということもあり、自分の作品をどのように売り込んでいくのかという点でまだ慣れないところもあったように思います。今後写真作家として本格的な活動を目指したいとのことでしたので、自分の作品をアピールする積極性をプロ意識として今後磨いていくことも必要になっていくと思います。

菊地和歌子写真展も残すところあと1週間です。ぜひご覧になっていただきたいと思います。
TANTOTEMPOでは、8月17日(月)18日(火)と休業いたします。(8月19日は水曜定休でお休み)

8月20日(木)から通常通り営業いたしますが、20日21日はメインギャラリーの展示はありません。
あしからずご了承をお願いいたします。

東京出張

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R0010768.jpg昨日から東京に来ています。
今回の訪問は、来春の写真展開催の詳細を決めるために写真家と打ち合わせをすることと、東京の写真に関連する情報を得るという目的がありました。
写真家は日本在住のアルゼンチン出身の写真家で、建築関係の仕事から写真家へと転向され日本でもニコンサロンなどで写真展を開催しているDaniel Machadoさんです。冬青社の高橋さんとのかかわりでご紹介いただいた写真家ですが、南米の老朽化した建造物の撮影を通して、そこにかかわった人や歴史に光を当てる大変優れたイメージを撮っています。TANTOTEMPOでは2010年の6月に彼の写真展を開催します。

打ち合わせには高橋さんも同席され、写真家情報など、いろいろと情報交換を行いました。明日から冬青社で開催予定の写真家HALさんも会場設営に来られており、度肝を抜かれる鮮烈なイメージの写真展です。こういう驚くばかりのコンセプトがドキュメンタリーを中心に写真展開催をされているギャラリー冬青で新たな世界を紡いでいくのだろうと思うと、TANTOTEMPOの今後の写真展展開にも大変ヒントになるものです。HALさんの今後にも注目していたいと思っています。

その後高橋さん、Danielさんと奥様、大阪からTANTOTEMPOとかかわりのある友人とで食事をしました。高橋さんには写真界の情報をいろいろ教えていただきました。これはTANTOTEMPOの運営でも今後参考にしながら実行していきたいと思っています。

今から帰ります。

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