浅田政志トークショーレポート

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IMG_7819.jpg浅田政志さんのトークショーがTANTOTEMPOで開催されました。

新型インフルエンザをものともせず、お申し込みいただいたほとんどの方がTANTOTEMPOに来てくださいました。参加者全員マスク着用という、普段ではとても考えられないような状況、また狭いカフェ部分に椅子を並べ、後方にはスタンディングでご参加いただいた方も多数おられ、熱気でエアコンがフル回転するという状況での開催でした。まずはこのイベントに熱気を送ってくださった写真ファン、浅田さんのファン、そしてTANTOTEMPOにエールを送ってくださったすべての来廊者の方々にお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

実直で飾らない、これが浅田さんと初めてお会いしたときの印象でした。昨年の11月にTANTOTEMPOに来てくださったときのことです。その後、3月に木村伊兵衛写真賞を受賞され、数多くの写真展イベントをこなしていく中で、彼が今後どのような変化を遂げるのか、あるいはある種のスタイルを貫くのか、僕としてはとても注目をしています。僕たちは写真をイメージで見ているのだけれど、実のところイメージを通してそのイメージを作っている個性を見ているのだと思います。美しい整ったイメージを撮る写真家は本当にたくさんいるのですが、人となりまで見ているかというと実際はそうでもないことも多いと思います。僕は特にこの点に立って浅田さんを見ていました。

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トークショーは、おなじみの「浅田家」(赤々舎)という写真集に掲載されているイメージにまつわる裏話で始まりました。それぞれの演出がどのようにして形成されていくのかというプロセスが、家族と浅田さんとの関わり、浅田さんと写真という関わりで紹介されました。徹底して三重県で撮影されているというこのシリーズの主役・主題をあえて実の家族である父親、母親、兄という自己と切っても切り離せない「家族」にあてている理由が説明されていきました。きっかけが専門学校の卒業をかけた制作にあったこと、家族それぞれのキャラクターが作品すべてに及んで作用するように徹底して「演出」がなされていること、三重県でしかも自ら撮影場所を得るために苦労しながら交渉にあたっていることなどが紹介されました。こと撮影現場での家族にまつわるエピソードは、僕たちがイメージで見る範囲を超え生々しく鮮烈で面白いものでした。ギャラリーは、たびたび大きな笑いに包まれ、瞬く間になにかしらその「笑い」を共有したものにしかわからない一体感に包まれていきました。

実はこの一体感あふれる「笑い」こそ、これらの「演出」写真に絶妙なLIVE感を与えている原動力になっているのだと思います。「家族」という誰もが経験する生活単位を、三重県という家族と過ごす場所、自分が生まれてきた場所で徹底して演出し、驚くべき「家族」を産み出しているのだと考えると、僕が考えていたよりずっと浅田さんの世界は大きく広いのだと思い知らされたような気がしました。実際、彼は新たなシリーズとして全国の「家族」を撮る活動をしていて、ふたつの「家族」のシリーズが今後無限の広がりをもって展開されていくだろうと思います。「演出」であろうとなかろうと、「笑い」があろうとなかろうと、徹底したコンセプトで描かれる息の長い、プリントとしても大変質の高いシリーズは、「家族写真」=浅田政志という非常にわかりやすい図式でやはりアートの領域で形作られていくと思います。

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浅田さんは、質疑応答やトークショーのあとのサイン会でも本当にすばらしい態度で来場者に接していました。清々しい、実直で飾らないという印象は、会場のいたるところで聞くことができました。

写真集を買っていただいた来場者の皆さんに浅田さんから驚くべきプレゼントもあって、強烈な印象を残して神戸をあとにされました。

浅田さん、また今回のイベントに関連して労をお執りいただいたAURACROSS前田さん、本当にお疲れさまでした。

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