今日は神戸も大変冷え込んで、どうなるかと心配もしていたのですが、ふたを開けてみれば本当にたくさんの来廊者の方々でにぎわいました。TANTOTEMPOも少しずつ認知が進み、新聞や雑誌のなどの展覧会情報に掲載されることが大変多くなってきました。そのおかげもあって、ギャラリーを訪れてくださる人の数も増えてきている印象を受けます。特に今回の若手写真家である白崎さんの写真展には3週間の期間中、多くの方々が訪れていろいろご意見をいただきました。
大半は好意的なコメントですが、いくつか鋭いご意見もいただきました。今日はこの点に留意してのギャラリートークを開催しました。
まず、写真展全体のテーマについて、白崎さんのお話をうかがいました。この展覧会の作品をめぐっては、いくつかのテーマが混在しているというご指摘を受けるものと当初から考えていました。実際、そのようなご意見を下さった方もおられましたが、僕はまったくそのようには感じていません。作品の、特に被写体についていろいろなものが混在するのは確かに一貫性を欠いているように見えるため大変不利となってしまいますが、僕はこの点について特に問題視することはありませんでした。つまり、この写真展の根底に流れる写真のコンセプトが一貫していればいいと考えていたのです。そしてそれは「かっこいい」写真であることと、強いコントラストを前面に出したものであることでした。なぜなら、このコントラストこそ白崎作品のもっとも特徴的な作風だからです。したがって、写真展のテーマということになると、それは被写体ではなく「コントラスト」なのだということをまず定義してみました。
続いて、キーとなる作品2-3点の解説を白崎さんにお願いしました。白崎さんはどういう風に風景と向き合っているのか話してくださいました。特に意識している点は彼の感じる「美しい」という感覚的要素を、いかにして作品に載せるのかという点です。ここでかれは面白いことを話してくれました。「カメラを構えて撮影するときに、すでに最終的な出力のイメージがあり、それが美しいものであるとほぼ確信してシャッターを押している」というのです。これはとても基本的ですが、とても大切なことです。一流の写真家が作品と向き合うとき、偶然性がどの程度作品に影響を与えるのかを考えてみるといいと思います。プロあるいはプロに近いアマチュアは、やはり最終的に手にしたいイメージを持ちながら撮影をしているのです。
次に、具体的に撮影からレタッチ、出力にいたるまでの工夫などについて聞いてみました。彼は基本的にデジタルカメラを駆使しての作品作りをしていますが、いくつかの作品を例にとって強い光、つまり太陽などの光彩をいかにして作品づくりのに生かすのかを話してくれました。また、北海道という地を生かしての雪景色や、どちらかというとグラフィックアートにも見える作品についてのアイデアを話してくれました。
最後に、デジタルモノクロームというカテゴリーについて、白崎
さんはデジタルカメラで撮影しデジタルで出力するモノクロームの作品、と定義してくれました。現在のフィルムベースの作品作りが今後困難な時代がめぐってくるのは間違いない状況下で、デジタルのアドバンテージを十分に生かした作品作りをすることについて、フィルムへのノスタルジーに浸るよりも技術の進歩の先にある表現として受け入れてこのカテゴリーを牽引していきたいとの思いをつたえてくれました。
終了間際に、白崎さんのカラー作品のポートフォリオを会場内で見ていただきました。僕自身「すごい!」と驚愕した夜の雪の景色を撮影した作品があり、どうしてその作品がすごいのかを皆さんに聞いていただきました。カラー作品もまたものすごいコントラストで、なおかつきわめて緻密な高解像度の作品だったのですが、この作品はいずれプリントがTANTOTEMPOに届けられることになっています。興味のある方はぜひTANTOTEMPOにお越しください。
ギャラリートーク終了後、簡単なレセプションを開催しました。もちろん、あちらこちらから引っ張りだこで、白崎さんは大変な人気ぶりでした。

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