17日月曜日に帰国しました。昨日は仕事もあり、エントリーできませんでしたが、一応実況としては最後の報告を行います。今後も機会を見つけてレポートを行いますが、まずは帰国のバタバタ劇を紹介します。
Air Franceのストライキの件は前のエントリーでも書きましたが、結果的にAir Franceでの帰国はキャンセルとなってしまいました。
パリのギャラリー関係者からAir Franceのストのことを聞かされたのが14日。その日から気分的にストレスを感じながらの滞在でしたが、翌日に現地HISに駆け込んで成田経由伊丹着のANA便をおさえておいて本当によかったと思います。
帰国当日16日の早朝にウェブで確認した際にはAF便はスケジュールされていたため、成田経由より関空着直行便の方が便利なため、慌ててシャルル・ド・ゴール空港に向かいました。空港ではAF担当者も飛ぶと言うしすんなりとチェックインもできたので、ANA便のキャンセルのため遠く離れたターミナルのANAの発券センターに向かったのですが、なんと発券センターは開いていませんでした。成田便の時間に合わせて開くとのことですが、それではAF便が出発した後の時間になってしまいます。空港当局に事情を話し、教えられたANA事務所に何度も電話をかけるのに、いつまで待っても話し中でつながらず、あきらめてAFの搭乗口に向かったところ、出発1時間前にAF便がキャンセルされていることがわかりました。なんと!ANA便をキャンセル出来なかったのが幸いして、なんとか成田経由で帰国しましたが、本当に疲れ果ててしまいました。ツアーの方など、どうやって帰国したのでしょうね。多くのツアー客がパニックに陥っているのを横目に帰ってきたのですが、それにしてもフランスのストライキは恐ろしいです。パイロットの定年が5年延長されるのが気に入らないとのことですが、基本的にこのプランは大多数の国民に支持されていて、サルコジ大統領の既定路線なのです。少し前にはオペラ座で同様のストライキがあったのですが、いろいろな面で庇護を受けている公務員や政府が大株主のパイロット組合がこのようなストを実施するというのは国民の支持を受けるはずもありません。実際、フランスの友人は彼らのことを「恥ずかしい」と言っていました。観光客の身銭と時間と夢を奪う自己中心的な行為は、厳に慎んでもらいたいと思います。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、本題です。
写真展で見かけた気になる写真が口絵のイメージです。見るとただ照明写真のようなカットをグリッド状に並べただけのものですが、同じ髪型、同じ職種、同じスーツ、同じ色、など一枚一枚にテーマがあるのです。面白いのは、この表現手法を"Exactitudes®"と題して、なんと商標を取っているのです。写真の表現手法にまで知的所有権や商標をもってくる時代になったのだと驚かされました。賛否両論だとは思いますが、このような手法はこれから増えてくるかもしれません。個人的にはこのグリッドのアイデアは面白いと思うのですが、この商標の件で興ざめしてしまいました。彼らはアーティストなのか?ただのプロダクションなのか?皆さんはどう感じますか?
日本人関係者と話しをする機会が多くありましたが、本当に知りたいのは日本人写真家がどの程度のセールスをあげたかという点、写真家それぞれの本場ヨーロッパでの評価です。個人的には、がんばっている日本人写真家、ギャラリーも数多くいてそれぞれにセールスはあったようですが、また同数程度苦戦している写真家、ギャラリーもあったと思います。注目を集めるという点で荒木経惟さんの緊縛シリーズはインパクトを生んでいましたが、大型の作品を遠まきに眺める人も多く、そこだけ浮いていた印象は否めません。人物像を写真の平面から立ち上げた立体写真、1cm厚のアクリルを使ったブロックのようなイメージ、商標を取った写真、2mもある大型写真、ポラロイドなどなど、見る者の判断に任せられるのがアートの解釈ですが、写真本体の勝負をしている写真家が困惑するのがわかるほど、写真表現も多面性、多様性を見せ始めており、それが却って本質的な重みを損なっていくことがないのか、心配でもあります。かつて1960−80年代、音楽は最高潮に美しく、多くのスタンダードを生みましたが、その後様々なスタイルが登場し、矢継ぎ早にアーティストが登場し、消費され、忘れ去られていきました。現代の音楽は、解釈や熟成とは無縁で、ただ生産され消費されているだけのような気がしてなりません。写真界にも実は同じことが起こっているのではないか、と確信するだけの根拠がパリフォトを訪れてみてたくさんあることがわかりました。
そんな中、出来るだけ上質のイメージを探し出し紹介できるギャラリーであり続けられるのか、自らの襟元をただす気持ちを胸に帰国したことは言うまでもありません。
以上で、PARIS PHOTO 2008の参加レポートは終了です。